ノバルティス 先端巨大症等治療薬シグニフォー 「クッシング病」の適応追加を国内申請
公開日時 2017/07/20 03:50
ノバルティスファーマはこのほど、先端巨大症および下垂体性巨人症の治療薬シグニフォーLAR筋注用キット(一般名:パシレオチドパモ酸塩)について、日本でクッシング病の適応追加を申請したと発表した。申請日は6月30日。この適応追加に伴い、10mgと30mgの2用量規格も申請した。
クッシング病の国内総患者数は450人程度とされ、国内外とも非常に稀な疾患。女性に多く、40歳前後に発症することが多いとされる。
クッシング病は、脳の下垂体に発生する良性の腫瘍(下垂体腺腫)から副腎皮質刺激ホルモンが過剰に分泌され、コルチゾールの過剰分泌が引き起こされる疾患で、ムーンフェイスや中心性肥満といった体形変化を伴う兆候がある。多くの場合、高血圧症や糖尿病など生活習慣病と類似の合併症を併発し、うつ傾向などの精神的な変化が現れることもある。病気の進行に伴う免疫機能低下による重篤な感染症や脂質異常症など生命にかかわる合併症を引き起こすリスクもある。
シグニフォーは、ホルモンを過剰分泌する良性腫瘍で発現しているソマトスタチン受容体に結合し、活性化することで、ホルモン分泌を抑制する医薬品。
クッシング病の治療は、原因となる下垂体腺腫の外科的切除が第一選択だが、切除不能や切除により寛解できない場合は放射線療法や薬物療法などが実施される。既承認の治療薬はミトタン、トリロスタン、メチラポンの副腎皮質ステロイド合成阻害薬のみで、視床下部-下垂体-副腎皮質系の働きを正常に回復させるものではない。このため、クッシング病の原因となる下垂体腺腫に対して抗腫瘍効果を発揮し、かつコルチゾールの過剰分泌を改善する新たな薬物療法の開発が望まれている。