16年度の国内医療用薬市場 売上1000億円超にハーボニー、オプジーボ、アバスチン (2/2)
公開日時 2017/05/22 03:52
■薬効内の売上トップ製品 がん、血栓症、喘息・COPDの3市場で交代
薬効領域別に薬効内トップ製品をみると、抗腫瘍薬、抗血栓症薬、喘息及びCOPD治療薬の3市場で薬効内トップ売上の製品が入れ替わった。
抗腫瘍薬市場はアバスチンからオプジーボに、抗血栓症薬市場はプラビックスからイグザレルトに、喘息等治療薬市場はシングレアからシムビコートに、それぞれ 交代した。プラビックスとシングレアは特許切れし、イグザレルトとシムビコートは新薬創出加算が適用されたことがトップ交代の大きな理由と考えられる。
■市場規模トップは抗腫瘍薬市場
薬効領域別の売上規模でトップ10市場をみると、1位は前年度に引き続き抗腫瘍薬市場で、売上は9745億円(14.5%増)となった。同市場の2ケタ成長はオプジーボや、胃がん、結腸・直腸がん、非小細胞肺がんの適応を持つサイラムザの伸長が主因となる。
2位は糖尿病治療薬市場で売上は5260億円(1.5%増)だった。前年度順位は4位。薬価改定があったにもかかわらず、DPP-4阻害薬テネリア(第一三共分)が45.8%増となったほか、15年11月発売のDPP-4阻害薬とビグアナイド薬の配合薬エクメットやSGLT-2阻害薬スーグラが成長し、市場拡大した。
3位はレニン-アンジオテンシン系作用薬市場で売上4984億円(10.6%減)で、3年連続のマイナス成長。前年度順位は3位。薬効内トップのオルメテック第一三共分の減収に加え、売上上位製品がGEの影響で2ケタ減収となったことが要因となる。
4位は全身性ウイルス剤市場で売上4546億円(32.6%減)だった。前年度順位は2位。薬効内トップ製品のハーボニーやソバルディの大幅減が理由。
5位は抗血栓症薬市場で売上4245億円(6.7%減)。前年度順位も5位。イグザレルトをはじめとするDOACが好調で、エリキュースは前年度比39.4%増、リクシアナは75.1%増――だった。
6位は免疫抑制薬市場で売上4001億円(7.9%増)と成長した。前年度は8位で順位を2つ上げた。薬効内トップのレミケードは減収となったが、ヒュミラが15.4%増、レブラミドが27.0%増、シンポニー(ヤンセン分)が3倍増となったことが背景にある。
7 位以下は7位が脂質調整及び動脈硬化用薬(3766億円、5.9%減、前年度6位)、8位が制酸剤、鼓腸及び潰瘍治療薬(3681億円、5.9%減、前年 度7位)、9位が眼科用剤(3274億円、0.4%減、前年度10位)、10位が喘息及びCOPD治療薬(3186億円、4.6%減、前年度9位)――。 薬効領域別の市場規模トップ10で新たにランクインした薬効はなかった。
■企業別売上 武田トップは変わらず
企業別の売上ランキング上位20社を見てみる。医薬品卸に製品を販売し、その代金を回収する機能を持つ「販売会社」ベースでは、売上トップは引き続き武田薬品 (6923億円、1.9%増)。2位は前年度3位の第一三共(6310億円、0.3%増)、3位は前年度2位のアステラス製薬(5946億円、6.2%減)と、2位と3位で順位が入れ替わった。4位と5位は前年度と変わらず、4位は中外製薬(4680億円、1.6%減)、5位はファイザー(4498億 円、4.5%減)だった。
上位20社で前年度から成長した企業は武田薬品、第一三共に加え、オプジーボを販売する小野薬品の計3社のみ。小野薬品は売上2650億円、54.0%増と大きく成長。売上ランキングは12位で、前年度の20位から8つ順位を上げた。
2ケタ減収となったのはハーボニーなどを販売するギリアド・サイエンシズ(2360億円、43.8%減)、エーザイ(2050億円、26.0%減)の2社。ギリアドは前年度6位から14位に後退した。エーザイは前年度12位から16位になった。
なお、販促会社が2社以上の場合、製造販売を持っているなどオリジネーターにより近い企業に売上を計上する「販促会社」ベースでのランキングは、ファイザーのトップは変わらなかったが、前年度2位だった武田薬品が4位に後退。今回2位は第一三共となった。2位以下では19社中15社で順位の変動があった。