北大と日立 認知症の早期診断機器の開発へ AMEDのプロジェクト受託
公開日時 2017/01/25 03:51
北海道大学と日立製作所は1月24日、日本医療研究開発機溝(AMED)から「認知症の早期診断・早期治療のための医療機器開発プロジェクト」を受託したと発表した。2019年3月まで、認知症の早期診断および検査時間の大幅な短縮が可能となる新たなMRI検査法の研究開発を共同で進める。日立は、同プロジェクト終了後5年以内にMRIシステムの製品化と、解析法のソリューションの提供を目指す。早期発見による早期治療につなげたい考え。
発表によると、北海道大学病院では認知症を含め、さまざまな病気のMRI検査法などの臨床研究を行っている。脳の形態変化から、アルツハイマー型認知症の診断を行うが、特に、脳の特定部位の萎縮を客観的に評価する「VBM」は、軽度認知障害の診断やアルツハイマー型認知症への移行予測において、VBMだけでは認知症と確定することが難しく、さらなる開発が必要とされているという。
一方、日立は2011年から、新しいMRI計測技術の一つの鉄濃度定量の分布を解析する「QSM」を開発。アルツハイマー型認知症では大脳基底核や扁桃体などの特定領域に鉄が沈着し、磁化率変化が生じることが報告されていることから、QSMとVBMを組み合わせた解析を用いることで、軽度認知症段階での診断、アルツハイマー型認知症への移行予測などにおいて、高い精度の検査が可能にしたい考え。
また、検査には撮像時間が10分以上、解析時間に約20分かかるといい、患者は10分以上、検査中に静止する必要があることから、5分前後まで検査時間の短縮を図る。
北大と日立はこれまで、陽子線がん治療システムなど共同開発で成果を挙げてきた経緯がある。