高齢糖尿病患者 コンプライアンス良好で薬剤費以外の医療費を抑制
公開日時 2016/12/06 03:50
高齢の糖尿病患者のアドヒアランスが良好であれば、処方せん枚数が1%増加すると薬剤費以外の医療費が0.83%減少する――。米マネージドケア専門誌「Journal of Managed Care Specialty Pharmacy」(JMCSP)にこのような研究結果が掲載された。米研究製薬工業協会(PhRMA)が11月21日、糖尿病の実態と医療費(特にメディケア=公的高齢者保険)との関連についての報告の中で同論文を紹介した。
米国では現在、3000万人以上が糖尿病に罹患し、毎年新たに140万人が糖尿病と診断されているという。米国衛生研究所(NHI)は、1100万人以上の高齢者が糖尿病で、8600万人の米国人が糖尿病予備軍だとしている。このような糖尿病の医療費が問題となるのは言うまでもないことである。PhRMAは、糖尿病医療費を減らすのはまず予防であり、次いで、糖尿病治療薬の服薬順守を改善することの重要性を指摘している。
JMCSPの研究では、服薬順守を行っている患者は非順守の患者と比べ1人当たり5170ドルの医療費削減になっているという。
さらに、PhRMAは、糖尿病薬の服薬順守を改善することで、34万1000例の入院と70万例の救急外来を回避できるとの分析結果を示した報告にも言及した。メディケアでは、服薬順守により2年間で患者1人当たり4000ドルの医療費の減少がみられたとの研究も紹介した。
糖尿病対策には新たな新薬の登場も待たれるところだが、現在、171剤の糖尿病治療薬が開発中で、40剤が1型糖尿病、95剤が2型糖尿病を予定適応としていることが分かっている。
PhRMAは、米国での糖尿病の罹患率は高止まりといった観あるが、新規糖尿病の診断率は高いものの減少し始めてきているので、このことは、糖尿病との闘いが正しい方向を歩んでいること示していると見ている。