米FDA オピオイド鎮痛剤など警告を強化 眠気、呼吸器抑制など
公開日時 2016/09/07 03:50
米食品医薬品局(FDA)は8月31日、オピオイド系鎮痛剤(鎮咳剤を含む)ならびに抗うつ剤ベンゾジアゼピンの併用について重篤な副作用リスクが高まっているとの観点から、ラベルに黒枠警告の記載を求めた。ラベルの変更と同時に患者向け薬剤情報のメディケーションガイドにも反映される。
ラベル変更の対象はオピオイド系鎮痛剤ならびにベンゾジアゼピン製剤併せて約400品目に上る。これら薬剤の併用による重篤な副作用は、極度の眠気、呼吸抑制、昏睡および死亡。
FDAによるデータ分析では、2004~11年までに両剤の併用は増加。両剤の医療目的外の併用が著しく増加、救急部門に搬送されるケースが増えているとしている。原因は過量投与が多いという。加えて、2002~14年には、オピオイド鎮痛剤とベンゾジアゼピンの併用を処方される患者数は41%増加しているが、これは両剤を投薬されている患者が2500万人増加したことに相当することになる。
FDAは、両剤併用についての最近のエビデンスを見直した結果、今回の措置を決めた。今回の措置は、社会問題化しているオピオイド乱用を抑制するための「オピオイド行動計画」(OAP)の一環でもある。
FDAのRobert Califf長官は、「広く使用されるこれら薬剤の併用に関しては回避できうる過剰投与や死亡例の実質的な増加をみるとまさに公衆衛生の危機というしかない」と指摘したうえで、「我々は、医療専門家にオピオイドとベンゾジアゼピンあるいは一般的に抗うつ剤との併用はベネフィットがリスクを上回るか慎重に評価し、この警告に留意してほしい」と話した。
米国疾病予防管理センター(CDC)は、両剤併用による重篤な副作用を回避するためのガイドランを発行しているが、今回のFDAのラベル変更はこれと整合性をとったものである。