大塚HD・16年第2四半期決算 国内は2%増収 水利尿薬サムスカ好調、25%薬価下げも2ケタ増収
公開日時 2016/08/10 03:51
大塚ホールディングス(HD)は8月9日、2016年12月期第2四半期(1~6月)決算を発表し、国内医療関連事業は売上1848億円、前年同期比2.0%増だった。16年4月の薬価改定では抗精神病薬エビリファイや水利尿薬サムスカなど主力品でそろって市場拡大再算定を受け、大塚製薬で8%台、大鵬薬品で7%台の薬価改定影響があったものの、それでも増収を確保した。特にサムスカは25%の薬価引き下げを受けたが、それでも売上143億円、前年同期比30%増と好調だった。同剤は通期で売上280億円を計画している。
同社によると、サムスカ好調の理由は▽経口水利尿薬としての医療現場での価値浸透▽腎臓の難病である常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)の世界初の治療薬として日本で承認(14年3月)され、市場の理解が拡がり処方数が伸びた――という。
最主力品のエビリファイの国内売上は157億円(前年同期比7.4%減)。統合失調症、双極性障害の躁症状、うつ病・うつ状態――の3つの適応症でOD錠の処方や販売シェアは堅調に推移したが、15%の薬価引き下げの影響が大きかった。
同じく市場拡大再算定で15%の薬価引き下げを受けた製品には抗てんかん薬イーケプラがあるが、同剤は売上131億円(30.2%増)と好調だった。点滴静脈製剤の投入や適応追加承認を相次ぎ取得し、「抗てんかん剤国内市場でトップブランドとして堅調にシェアを拡大した」としている。
■グローバル製品の新規抗精神病薬レキサルティ 16年中に国内申請予定
開発パイプラインでは、グローバル製品に位置づけている新規の抗精神病薬レキサルティ(一般名:ブレクスピプラゾール)を、日本で16年中に申請予定としている。同剤は現在、米国でのみ15年8月から発売され、適応症は統合失調症と大うつ病補助療法となっている。16年第2四半期の売上は116億円、通期は290億円を見込んでおり、この成長スピードはエビリファイを超えるという。同剤は大塚製薬の創製品で、ドパミン、セロトニン受容体との高い親和性を持つSDAMと呼ばれる独自の薬理作用をもつ。
■連結業績は2ケタの減収減益 エビリファイ特許切れ影響大きく 米国売上は9割消失
16年第2四半期の連結業績は売上5947億円(20.3%減)、営業利益661億円(35.9%減)と2ケタの減収減益だった。ピーク時で年間5700億円余りを売り上げたエビリファイが欧米で特許切れした影響が大きい。同剤のグローバル売上は16年第2四半期で574億円(75%減)、通期でも980億円を見込んでいる。なお、米国では15年4月にジェネリックが承認され、16年第2四半期の売上は前年同期と比べ約90%消失した。
【連結実績 (前年同期比) 16年度通期予想 (前年同期比)】
売上高 5947億5400万円 (20.3%減) 1兆2000億円 (17.0%減)
営業利益 661億7000万円 (35.9%減) 1000億円 (34.1%減)
経常利益 653億8800万円 (40.2%減) 1000億円 (37.5%減)
親会社帰属純利益 467億2200億円 (32.7%減) 750億円(10.8%減)
【主要製品の国内売上(前年同期) 16年度予想、億円】
エビリファイ 157(169)355
エビリファイメンテナ 18(2)55
プレタール 85(117)170
ムコスタ 43(58)82
ティーエスワン 140(149)250
ユーエフティ 33(37)65
ユーゼル 50(51)100
ロンサーフ* 145(15)265
アロキシ 67(60)135
アブラキサン 101(90)210
イーケプラ 131(101)265
サムスカ 143(110)280
ムコスタ点眼液 23(21)50
ニュープロ・パッチ 49(36)110
スプリセル共同事業 138(155)290
ゾシン及びタゾシン(原薬供給) 38(61)80
臨床栄養 408 (412) 865
*ロンサーフの売上は日米欧合算