米FDA ジェネンテックの膀胱がん治療薬・抗PD-L1抗体Tecentriqを承認
公開日時 2016/05/24 03:50
米食品医薬品局(FDA)は5月18日、抗PD-L1抗体医薬Tecentriq(一般名:アテゾリズマブ)について、膀胱がんの一種である尿路上皮がんの適応で承認した。適応は、プラチナ製剤を含む化学療法受療中あるいは受療後に悪化した局所進行もしくは転移尿路上皮がん。同剤は、スイス・ロシュ子会社である米ジェネンテック社(本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)が販売する。
同剤は、免疫チェックポイント阻害剤の一種で、PD-1/PD-L1のパスウェイを標的とし、その相互作用を阻害することで、がんと闘う免疫系を活性化させる。同剤は、初のFDA承認PD-L1阻害剤となる。また、同日、同剤のコンパニオンダイアグノスティクス(CDx)である、PD-L1のバイオマーカーアッセイVentana PD-L1(SP142)Assayも同時に承認された。販売は、ロシュ子会社のVentana Medical Systems(本社:アリゾナ州ツーソン)。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のRichard Pazdur血液・腫瘍製品部長は、「Tecentriqは、膀胱がん患者にPD-L1パスウェイを標的とした新規治療法を提供する」と述べた。その上で、「PD-1/PD-L1の相互作用を阻害する製品は、ヒトの免疫系および免疫とがん細胞との関連などについて理解が進展したことを物語っている」と指摘した。Tecentriqは、FDAからブレークスルーセラピー(画期的医薬品指定、BTD)、優先審査品目および迅速審査の指定を受けていた。
ジェネンテック社のSandra Horning最高医学責任者(CMO)兼Global Product Development部門長は、「Tecentriqは、プラチナ製剤をベースとした化学療法後に進行した一定の膀胱がんを治療するために免疫系とともに作用することができる新薬だ」と説明。「同剤を進行尿路上皮がん患者に提供できることを可能にした科学者、医師、患者とその家族に御礼申し上げる」と話した。
尿路上皮がんは膀胱がんの典型的ながんで、膀胱および関連臓器に発症する。米国立がん研究所(NCI)によると、2016年に新たに膀胱がんと診断されるのは7万6960人、このうち死亡者数は1万6390人と見込まれている。