米FDA 5-FU系過量投与解毒剤Vistogardを承認
公開日時 2015/12/17 03:50
米食品医薬品局(FDA)は12月11日、乳がんや消化器がんなどに使われる化学療法剤フルオロウラシル(5-FU)および5-FUのプロドラッグであるカペシタビンの過量投与時の解毒剤Vistogard(uridine triacetate)を承認した。これら薬剤の過量投与に対する解毒剤は初めて。
同剤の適応は、成人および小児の5-FUおよびカペシタビンの過量投与を受けた場合、もしくは、これら薬剤の投与を受けて4日以内に重篤な、あるいは生命を脅かす毒性が発現した場合の緊急治療である。5-FUおよびカペシタビンの過量投与はまれだが、一度、過量投与が起きると副作用は重篤で致命的である。
Vistogardは、化学療法による細胞の損傷や細胞死をブロックする。患者は過量投与後、毒性による症状が発現する、しないにかかわらず、直ちに服用するか、あるいは重篤なもしくは生命にかかわる毒性の発現が見られたら早期に(4日以内)服用する。
同剤は、5-FUおよびカペシタビンの効果を減弱するので、これら薬剤に係る緊急でない副作用の治療には推奨されていない。同剤の主な副作用は、下痢、嘔吐および悪心である。FDAから希少疾病薬および優先審査の指定を受けた。また、迅速審査で承認された。FDA医薬品評価研究センター(CDER)のRichard Pazdur血液・腫瘍製品部長は、「がんの治療は、どの薬剤が最も効果的で忍容性があるかの選択ばかりでなく、適正な用量を適正な間隔で確実に投与しなければならない」と指摘したうえで、「本日の承認は、化学療法剤による過量投与あるいは生命を脅かす毒性の発現から救命する可能性をもつ、この種では初めての治療法である」と同剤の登場を歓迎した。
同剤は、米Wellstat Therapeutics Corporation社(本社:メリーランド州ゲイサーズバーグ)が販売する。Wellstat TherapeuticsのMichael Bamat副社長(研究開発担当)は、「本剤は重要なアンメットメディカルニーズを満たすと同時に優秀な安全性プロファイルを示した。Vistogardによる、タイムリーな治療は生命を救い、患者ががんと闘い続けるのを手助けする」と同剤の特徴についてコメントした。