塩野義・15年度第2四半期 国内1.9%増収 下期は疼痛領域参入のサインバルタに注力
公開日時 2015/10/30 03:50
塩野義製薬は10月29日、2016年3月期(15年度)第2四半期(4~9月)決算を発表し、国内医療用医薬品売上高は、戦略品の堅調な伸びが、長期収載品の落ち込みを吸収し、1.9%の増収だった。戦略品売上は対計画に対しわずかながらも未達は目立ったが、通期予想は当初どおり以上の成果を目指す。主力のSNRIサインバルタは、下期中にも慢性腰痛に伴う疼痛の適応取得が見込まれ、疼痛領域への本格参入となることから、戦略品の中で最大のディテールをかけていく方針。
国内医療用薬売上高は784億円、前年同期と比べ1.9%増だった。スタチン製剤のクレストールが包装変更に伴う在庫圧縮で3.1%減となったものの、ARBのイルベタン(配合剤含む)は10.5%増、今期から販売が日本イーライリリーに一本化し、塩野義はコ・プロとなったサインバルタも31.5%増。これらを含む戦略8製品が18億円伸ばし、全体の23%を占める長期収載品とその他製品の4億円の落ち込みを吸収し、増収となった。通期国内売上は3.5%増の1670億円を計画する。
国内業績について手代木功社長は同日の会見で、「戦略品にほぼ100%のMRリソースをかけ、長期収載品比率を意図的に下げてきたことで、ビジネスの安定度が見え始めたのかなと思っている」と振り返った。ただ、新薬で成長を図るという会社の方向性としては「道半ば」と述べた。
手代木社長 「医療連携サポート室」の新設 地域医療での「BtoB」の試み
また、手代木社長は、10月に行った営業組織改革で営業企画部の中に「医療連携サポート室」を新設した狙いついて質問に答え、「地域包括ケアの中で、地方では自治体、卸、病院、薬局、介護の方々など、この中で薬がどう扱われるのかを考えないといけない。MRが先生のところへ行くだけでは厳しい。交渉相手が大きな調剤薬局の長であったり、病院のトップであっり、そんな方々と話す機会が増えるだろう。米国ほど極端になるかはともかくとして、BtoCではなく、BtoBを行える能力を作っておかないと今後の変化にはついていけないのかなというのが、今回の試み」と説明した。
なお、海外を含めた業績全体は、海外子会社が堅調なうえ、抗HIV薬のロイヤリティ収入が114億円が今期上乗せされたことから、増収増益だった。通期は抗HIV薬のロイヤリティ収入の押し上げがあり、通期予想売上を55億円を上方修正。それに伴い営業利益、経常利益、純利益をそれぞれ55億円、85億円、70億円引き上げ、2桁増収増益を見込む。
【15年度中間期連結業績(前年同期比)15年度予想(前年同期比)】
売上高 1382億7900万円(6.5%増) 3015億円(10.0%増)
営業利益 339億3300万円(49.4%増) 780億円(54.9%増)
経常利益 347億9100万円(10.7%増) 880億円(13.0%増)
純利益 213億円8600万円(120.2%増)590億円(33.9%増)
【15年度の中間期国内戦略品目売上(前年同期実績)15年度予想 億円】
クレストール 204 (211) 444
イルベタン類 83 ( 75) 170
サインバルタ 72 ( 55) 174
オキシコンチン類 52 ( 53) 107
フィニバックス 21 ( 19) 38
ディフェリン 16 ( 18) 38
ピレスパ 28 ( 26) 54
ラピアクタ 0 ( 1) 28
(以上戦略8品目)
フロモックス 58( 58) 112
リンデロン等外用 43( 42) 74
クラリチン 16( 16) 42
フルマリン 24( 24)40
ロイヤリティー収入375(283)888
クレストール237(244)非開示
HIVフランチャイズ114(‐)非開示