TPPバイオ医薬品のデータ保護期間8年で合意 PhRMAと米国バイオ産業協会は遺憾
公開日時 2015/10/07 03:52
環太平洋経済連携協定(TPP)交渉でバイオ医薬品のデータ保護期間を実質8年とすることで大筋合意されたことを受け、米国研究製薬工業協会(PhRMA)と米国バイオ産業協会(BIO)は10月5日、遺憾の意を示す声明を発表した。一方で、米国ジェネリック医薬品協会(GPhA)と傘下のバイオシミラー協議会(BC)は歓迎する意向を示しており、製薬業界でも反応が割れている。バイオ医薬品のデータ保護期間は米国が12年間を主張していたが、オーストラリアなどが反対し、最終的に折り合うこととなった。
PhRMAのJohn J Castellani理事長兼CEOは声明の中で、「担当閣僚たちが、われわれ業界のイノベーションの次の波を象徴するバイオ医薬品のデータ保護期間12年を確保できなかったことに落胆している。この期間は思いつきの数字ではなく、米議会での長い審議を経て、この期間が研究を促進する一方で、タイミングよくバイオシミラーにアクセスできるようにバランスをとったものだ」と述べた。
詳細が明らかになることを待つ姿勢を示した上で、「閣僚たちは、患者の生活を改善するために重要な救命医薬品に結び付くイノベーションを促す機会を逃したように思える」と失望を露わにした。
BIOのJim Greenwood会長兼CEOも、12年間のデータ保護期間に同意できなかったことは残念とし、「BIOは、12年間のデータ保護期間は、継続的なメディカル・イノベーションや新規のバイオ治療薬を開発するための投資を誘引するためには前提条件だと信じている」と話した。また、12年間のデータ保護に同意できなかったことは、「世界的な投資の意欲を削ぎ、疾患に悩む患者に対する画期的治療薬開発を鈍化させる」と懸念を示した。
今後の対応について、閣僚による最終合意書を検討した上で、「政権や議会指導者らと密接に協議してきたい」とした。
◎米国ジェネリック医薬品協会は賛意示す
一方、米国ジェネリック医薬品協会(GPhA)と傘下のバイオシミラー協議会(BC)は10月5日、Chip Davis会長兼CEOが声明を発表し、「TPPの合意で、安全かつ有効なバイオシミラーとの競争を受け入れることになり、(患者に安価な医薬品をアクセスさせるという)われわれのゴールがより近づいた」と歓迎した。その上で、「TPPは、世界貿易、患者アクセスおよび医療費削減に新時代を切り開くかつてない機会である」と評価した。