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PhRMA・トムセン在日執行委員長 内閣官房に「常設会議体」設置を提言 創薬力強化の司令塔機能に期待

公開日時 2024/04/04 04:52
米国研究製薬工業協会(PhRMA)在日執行委員会のシモーネ・トムセン委員長(日本イーライリリー社長)は4月3日の記者会見で、内閣官房に医薬品産業と定期的な対話を行う「常設会議体」の設置を提言した。会議体は内閣官房の元に、厚労、文科、経産、財務の各省を横断的に配置し、国内外の製薬産業やバイオベンチャー、アカデミアと革新的創薬をめぐる課題を定期的に開催し、確認し合うというもの。創薬力強化の目標設定やKPIのモニタリング状況などを相互に共有する。トムセン委員長は、「常設の組織を内閣官房のもとに設置することで関係省庁に直接指示できる。さらに定期的に革新的医薬品産業とエンゲージメントを持つことができる」と主張した。

◎24年度薬価制度改革「重要な第⼀歩を踏み出した」 効果検証に「積極的に協力」

トムセン委員長は会見で、24年度薬価制度改革を総括し、「(日本政府は)重要な第⼀歩を踏み出した」と評価した。また、「この最初の第⼀歩を踏み出すことで、イノベーションを促進する政策に戻ることができる」と歓迎した。政策決定過程で中医協から改革の効果検証が求められたことに触れ、「PhRMAとして積極的に協力したい」と応じた。一方で、「約半数の特許期間中の新薬の薬価が毎年下落しうる構図は直ちには変わらない」と指摘。ドラッグ・ラグ/ロスを解消する創薬イノベーション・エコシステムを“グローバルベース”で構築する必要性を強調した。

◎内閣官房が、厚労、文科、経産、財務の各省に直接指示 産業界とも定期的に協議

更なる改革に向けた課題では、「政府の司令塔機能の強化」を要望した。具体的には、省庁横断的な「常設会議体」の設置を求めた。トムセン委員長は、「関連省庁と革新的医薬品産業界の英知を結集するもので、多くの省庁および企業が参画する必要がある」と強調。「組織体制を確立するには強力なリーダーシップが必要だ。常設組織を内閣官房のもとに設置することで関係省庁に直接指示ができ、定期的に革新的医薬品産業とエンゲージメントを持つことができる」と主張した。

◎常設会議体で創薬力強化の目標設定とKPI の進捗確認

常設会議体の役割については、内閣官房が関係省庁に創薬力強化の目標とKPIを盛り込んだ国家戦略の策定を調整指示するほか、「このKPIを積極的にモニタリングし、予定通りに進んでいるかを評価して、もし進捗が悪い場合にはそれを確実にするための対策を講じる」などの役割や機能を持たせる考えを主張した。さらに、常設会議体を通じ、国内外の⾰新的医薬品企業が定期的にインプットできるなどの機能も盛り込んだ。

◎「官民対話」とは異なる機能 多国籍企業が政策合意のプロセスに貢献

トムセン委員長は、常設会議体とこれまで行ってきた「官民対話」の違いに触れ、「官民対話はバイオ医薬品業界を詳細に審議する時間はなかった。さらに政策提言を出すタイミングも非常に難しい」と指摘。「政府と産業界で共同の政策合意が必要となる。積極的に多国籍企業がこのプロセスに貢献するということが重要だと見ている」との見解を示した。さらに米国の新興バイオファーマ(EBP)など日本市場との結びつきの弱い創薬ベンチャーに対しても、「PhRMA加盟企業も積極的にボストン、カリフォルニアなどのバイオベンチャー・エコシステムで活動しており、(日本の創薬力強化への)会話に貢献できると思う」と語った。
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