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アステラス製薬・岡村社長 米インフレ抑制法でイクスタンジ減収予測 25年度の成果目標「達成厳しい」

公開日時 2024/04/26 04:53
アステラス製薬の岡村直樹代表取締役社長CEOは4月25日に開催した「2023年度決算説明会」で、イクスタンジ、パドセブ、ゾスパタ、ベオーザ、アイザーヴェイの重点製品が成長ドライバーとなり、前期比5.6%増、売上収益1兆6037億円を確保したと報告した。一方で経営計画2021の進捗については、米インフレ抑制法(IRA)のメディケアパートD再設計に伴う米国イクスタンジの減収予想、米国でのミラベグロンへの後発品参入、ベオーザの前提条件見直しなどの課題が散見されると指摘。「2025年度の成果目標(コア営業利益率30%以上)の達成は厳しい」としながらも、当初の計画通りイクスタンジの独占的特許満了を克服できる体制整備に努める方針を堅持した。

23年度決算における主要製品売上は、イクスタンジが前年比14%増の7505億円、パドセブが92%増の854億円、ゾスパタが18%増の551億円、ベオーザが73億円、アイザーヴェイが121億円となった。岡村社長CEOは、「中長期の成長ドライバーの製品が前期比で合計約700億円増加しており、今後も更なる成長を期待している」と胸を張った。なお、24年度通期業績予想でも、主にパドセブ、ベオーザ、アイザーヴェイの成長で約1200億円の増収を見込んでいる。一方、販管費は前年比19.9%増加。アイベリック・バイオ社の買収で310億円、ベオーザ関連の費用で400億円を追加。研究開発費も為替やアイベリック・バイオ社買収などで6.5%増加となった。このほか、2023年度に実施したに日本での営業体制の見直しを含むグローバルでの組織改革による約100億円の費用削減効果も見込んでいる。


◎米IRA・メディケアパートD見直しで、米国売上はイクスタンジ50~70ミリオンドル減収織り込み

岡村社長CEOは経営計画2021の進捗を振り返り、想定しなかった外部環境要因として、「当初の前提になかった米国のインフレ抑制法(IRA)の施策の1つであるメディケアパートDの再設計が2025年1月から施行されることに伴い、米国でのイクスタンジの売上に影響を与えることが予想される」と説明。このため「3か月分のマイナス影響として50~70ミリオンドルを織り込み、米国の売り上げは減少を見込んでいる」と明かした。

◎ベオーザ 課題の民間保険カバレッジを24年度80%以上に拡大へ

また成長ドライバーに掲げる主要製品のパドセブとアイザーヴェイは、「成長のボトムにヒットしている」と売上伸長を期待する一方で、ベオーザについては、「当初の前提条件を見直し ピーク時売上予想のレンジ3000億円~5000億円を1500億円~2500億円に下方修正した」と述べ、課題となっている民間保険のカバレッジを24年度末までに80%以上に引き上げる目標を科した。加えて、MRを通じた医師への疾患啓発活動にも力を入れる必要性を強調した。

◎コアベース、フルベースとも複数回の下方修正「経営陣として非常に重く受け止めている」

コア営業利益の見通しについて岡村社長CEOは、「新製品への投資をオフセットするだけの十分な削減ができたとは言えないと認識している。また、レキスキャンの後発品が想定よりも早期に市場参入し、ミラベグロンも将来の損害賠償のリスクを伴う後発品上市の可能性を払拭できず、コア営業利益が大きく影響を受ける状況となっている」と指摘。「レキスキャンの後発品参入、アイベリック社買収による費用の増加、べオーザの想定を下回る進捗、減損損失の計上などにより、コアベース、フルベースともに複数回の下方修正を行った。結果、株式市場の皆様の期待に応えられなかったことを経営陣として非常に重く受け止めている」と語った。

◎経営計画2021 重点製品の成長で25年度のコア営業利益率20%台前半キープ

その上で経営計画2021については、「ここまでの進捗状況に鑑みると、2025年度の成果目標の達成は難しいと考えている」と発言。「一方で、経営計画2021の本来のテーマはイクスタンジの独占販売期間満了を克服できるような体制を構築するということにある。残りの期間でその体制をしっかりと整えていくことが極めて重要であると考えている」と述べ、パドセブ、ゾスパタ、ベオーザ、アイザーヴェイの重点製品を成長ドライバーに据え、24年度のコア営業利益率15.2%を25年度に20%台前半まで引き上げ、当初の計画で掲げたコア営業利益率の30%目標を目指す姿勢に変わりないことを強調した。

【連結業績 (前期比) 24年度予想予想(前期比)】 
売上高1兆6036億7200万円(5.6%増) 1兆6500億円(2.9%増)
営業利益255億1800万円(80.8%減) 480億円(88.1%増)
親会社帰属当期利益170億4500万円(82.7%減) 300億円(76.0%増)

【グローバル主要製品売上(前期実績)24年度予想、億円】
XTANDI 7505(6611)7570
PADCEV 854(444)1512
XOSPATA 551(466)600
VEOZAH 73(―)283
IZERVAY 121(0)464
EVRENZO 45(32)47
ベタニス/ミラベトリック/ベットミガ 1981(1886)1180
プログラフ 2031(1988)1918
ベシケア 146(159)133

【国内主要製品売上(前期実績)24年度予想、億円】
グローバル
イクスタンジ 567(547)589
パドセブ 85(84)113
ゾスパタ 44(43)50
エベレンゾ 21(24)17
ベタニス 274(335)257
プログラフ(グラセプター含む) 295(356)253
ハルナール 13(18)非開示

主要製品
スーグラファミリー 279(303)273
うち、スージャヌ 110(123)非開示
レパーサ 67(64)非開示
リンゼス 64(70)非開示
ビーリンサイト 112(79)非開示
イベニティ 488(421)非開示
スマイラフ 24(25)非開示
ワクチン 46(55)非開示
シムジア 100(112)101
*国内売上は仕切価ベース
 
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