米ベンチャー・Baxalta CEOが独自路線邁進を強調 シャイアー買収提案拒否で
公開日時 2015/08/26 03:50
本誌既報(8月6日付)通り、アイルランドのシャイアー社による買収提案を拒否した米ベンチャーのBaxalta社のLudwig N Hantson CEO兼社長は、8月10日、投資家を対象とした会合で改めて買収提案を拒否し、独自路線を邁進する考えを強調した。
シャイアー社による買収提案の内容は、Baxaltaの株主が1株当たりシャイアー社の米国預託証券(ADR)0.1687ADRを受け取ることを可能とし、これはBaxalta株式1株当たり45.23ドル相当の評価額で、2015年8月3日のニューヨーク証券取引所(NYSE)におけるBaxalta株価の36%増となる。これにより、買収総額は約300億ドルになるというものだった。
Hantson CEO兼社長は、シャイアー社による買収提案を拒否したのちの株主との対話でも、シャイアー社は、Baxalta社の価値を低く見すぎているということを確認、買収拒否の正当性を説明した。
シャイアー社との統合がシナジーを生むという点については以下のように否定した。同CEO兼社長は、シャイアー社が求める、同社の特化領域が希少疾患であることは事実だが、シャイアー社の希少疾患とは異なるとした。具体的には、Baxalta社の血漿事業は資本集約型で他のバイオビジネスと統合させたからといっても簡単にコスト削減できないと統合のメリットを否定した。
また、同CEO兼社長は、「シャイアー社は、我々の魅力的な血友病、免疫および成長を続ける腫瘍プラットホームをシナジーなしに便宜的に買おうとしているのか」と疑問を投げかけ、「我々は、魅力的な薬効分野を持っているが、これを低い評価で譲渡することは恥ずべきこと」と改めて統合を否定した。
Baxalta社は節税を最大限求めるので、シャイアー社がアイルランドの企業であるため、合併することにより、税制面でのメリットを享受できることは理解するとし、それが合併の財政面のひとつのメリットにはなるとしながらも、「税制面でのシナジーが長期的な戦略的統合の主要原動力となるべきとは信じていない」と結論付けた。
その上で、Hantson CEO兼社長は、「我々の株主をリスクに晒すことなく我々の独自路線計画に基づき、大きな株主価値をもたらすために我々のその計画と(実行の)能力に自信を持っている」と決意を述べた。
Hantson CEO兼社長は、「我々の目標は、2020年までに20製品を上市、売上25億ドルを目指す」としている。