米FDA イレッサをNSCLCの第一選択薬として承認 コンパニオン診断薬も
公開日時 2015/07/16 03:50
米食品医薬品局(FDA)は7月13日、英アストラゼネカ(AZ)のキナーゼ阻害剤Iressa(日本製品名:イレッサ、一般名:ゲフィチニブ)をEGFR(上皮成長因子受容体)遺伝子変異陽性の転移非小細胞肺がん(NSCLC)の第一選択薬として承認した。EGFR遺伝子変異陽性(エクソン19欠失もしくはエクソン21L858R置換変異)の患者集団のみを対象とすることから、希少疾病薬に指定された。
安全性および有効性は、未治療のEGFR遺伝子変異陽性の転移肺がん患者106例を対象に多施設・単一アーム臨床試験で検証された。投与量は、250mg/日。主要評価項目は、客観的奏効率(腫瘍の消失もしくは部分縮小の割合)で、患者の50%において腫瘍の縮小が示され、これが平均6か月間継続した。重篤な副作用は、間質性肺炎、肝障害、消化器穿孔、重症の下痢、眼障害など。主な副作用は、下痢、発疹・ざ瘡・掻痒など皮膚障害。
同剤は、米国では、2003年に加速審査によって、プラチナ製剤およびドセタキセルの併用治療後における進行NSCLCの適応で承認された。しかし、AZは、同剤の臨床的ベネフィットを検証する確認に失敗したため、自主的に市場から同剤を回収した。今回の承認では、当時の適応と患者集団が異なる。
FDAは、同日、EGFR遺伝子変異を診断する、Iressaのコンパニオン診断薬となる、the therascreen EGFR RGQ PCR Kitを承認した。同キットは、英国のQUIAGENManchester Ltdが製造する。
FDA医療機器・放射線保健センター(CDRH)の体外診断薬・放射線保健部長は、「キットの承認は、医師に第一選択としてイレッサを投与するNSCLC患者を決定するのに役立つ」と歓迎した。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のRichard Pazdur血液および腫瘍製品部長は、「選択された肺がん患者の新たな第一選択治療の選択肢を提供する。がん治療の高度な標的アプローチを裏付けるものだ」と個別化医療の進展を評価した。
肺がんは、米国ではがん関連死因のトップで、国立がん研究センター(NCI)によると、2015年には22万2100人が新規に肺がんと診断され、15万8040人が肺がんを原因として死亡すると見込まれている。