米FDA 心不全治療薬・Entrestoを承認 ARBとネプリライシン阻害薬配合剤
公開日時 2015/07/13 03:50
米食品医薬品局(FDA)は7月7日、心不全治療薬Entresto(ネプリライシン阻害薬・sacubitrilとARB・バルサルタンの配合剤)を承認した。適応は、心不全(NYHAクラスⅡ-Ⅳ)に伴う心血管死および入院の低減。重篤な心不全に対する効果を有する類似薬がないことから、優先審査、迅速審査の対象となった。
同剤の有効性は、8000例以上の心不全患者を対象とした臨床試験で検証された。ACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害剤エナラプリルと比べ、心不全による心血管死亡率や入院率を低減させた。主な副作用は、低血圧、高カリウム血症、腎障害など。血管浮腫の発症が報告されており、黒人および血管浮腫の病歴のある患者はハイリスク患者とされた。
スイス・ノバルティスの米法人Novartis Pharmaceuticals Corporation(本社:ニュージャージー州イーストハノーバー)が製造する。同社のChristi Shaw社長(米国Country Head)は、今回の承認について「心不全治療の新時代を示すものだ」との見解を示し、早期に承認されたことにより迅速に患者に届けることができることに謝意を示した。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のNorman Stockbridge心血管・腎臓製品部長は、「心不全は、成人における死亡および障害の一番の原因。(同剤の登場により)延命が可能になり、よりアクティブな生活を可能にさせる」と述べた。心不全の米国における罹患患者数は約510万人とされている。