田辺三菱・村上営業本部長 「営業所長の機能変える」 営業拠点絞り込みで地域包括ケアに対応
公開日時 2015/04/27 03:52
田辺三菱製薬の村上誠一・常務執行役員営業本部長は4月24日、東京本社で本誌のインタビューに応じ、140あった営業所の数を4月時点で119まで絞り込み、将来的には100程度にする意向を示した。営業所のカバー範囲を広げることでエリアの医療動向を見極めながら施策を迅速に展開できる営業体制の構築を目指す。その中で村上本部長は、「営業所長の機能を変えることは大事」と指摘。所長とMRが一体となって顧客ニーズを掴むプロセスを社内の共通言語として再確認するといった新たな取り組みを進めるなど、営業改革を遂行できる人材に絞り込む。それにより、改革方針や施策の迅速な浸透を図り、地域包括ケアなど新たな市場・医療環境に対応できる営業体制を構築する考えを示した。
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同社は、国内営業力の強化や市場・医療環境の変化を受けた営業体制を具体化するため、村上本部長をトップに「営業改革室」を立ち上げ、4月から本格始動させた。村上本部長は、1年内に「相応の成果というか、MRを変えていくことを含めて取り組んでいきたい」と、迅速に改革を進めることを強調。その中で「営業所長(の改革)もテーマの1つ」と明かし、改革方針を浸透させる機能とともに、地域ごとのニーズを把握し、施策打つ機能も必要との認識を示した。
営業所長や営業拠点を絞り込む理由について村上本部長は、「数が多ければ多いほど、本社の意思に対し、現場での動きが悪くなる」と述べ、まずは改革を遂行できる優秀な営業所長をエリアに配置する必要性を強調。その上で新たな営業所長像については、▽MRの育成▽売上管理▽エリア管理――に加え、地域の医療特性を所長自らが見極めながら、地域独自の施策を打てるような機能を持たせたいとの意向を示した。モデルとしては、地域の医療事情に詳しく、医師らに治療の継続に向けて提案、支援しているという生物製剤レミケード担当のエリアマネージャーを挙げた。
過去とは違うMR像構築 提案型の活動目指す
一方で、これからのMRの機能や役割について村上本部長は、「かつては押しが弱い、クロージングができないなどと言われてきた」と振り返りながら、医療ニーズの多様化や医療環境の変化など、顧客ニーズも変わりつつあるとし、医師が理想とする医療の方向性をMR自身が理解を深め、そこで治療提案できる「提案型MR」に仕向けていく考えを明らかにした。そのため、顧客のニーズを掴み、対応し、処方につなげるまでのMR活動のプロセスを確立し、全社的に共有する。このプロセスを共通言語として、所長とMRが一体となって活動の進捗を確認し、課題解決に取り組めるような組織改革の必要性を指摘した。
メディカル職は増強 今年中に2~3倍に
医師主導の臨床研究の支援などを行うメディカルアフェアーズ(MA)についても触れた。営業本部とは独立した部門に位置づけられるとしながらも、医療ニーズにあった製品開発や市販後の製品の有効性、安全性を高めていくために増強する必要性を強調し、「今年中に今の2~3倍にしないといけない」(人数非開示)と述べた。多面的な業務であるとして、MR、開発、信頼性保証など社内関係部署から人材を確保することになるとした。