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生活保護患者の向精神薬多剤処方に地域差 最大で11倍 医療経済研究機構まとめ

公開日時 2014/11/13 03:51

医療経済研究機構は11月12日、生活保護を受けている外来患者のレセプト情報分析から、向精神薬3剤以上の多剤処方割合が最も高い西宮市と最も低い富山県で11倍の地域格差が認められたとする分析結果を発表した。同機構研究員の奥村泰之氏らが分析したもので、詳細な結果は「臨床精神薬理(17巻11号)」に発表している。

 

調査は、生活保護を受けている外来患者のレセプト情報228万5106件のデータを解析したもの。厚労省が2011~2012年に実施した医療扶助実態調査のデータを二次分析した。抗不安・睡眠薬など「麻薬および向精神薬取締法」で規制されている45種類の向精神薬が3剤以上処方されている割合を、「政令指定都市」や「中核市」、「都道府県内のその他の市部・郡部」からなる107の地域別に集計した。補足情報として健康保険組合加入者における80万5066件のㇾセプト情報についても分析した。

 

この結果、生活保護受給者の多剤処方の割合は2.1%だった。最も高頻度の西宮市では4.4%、低頻度の富山県は0.4%で、11倍の地域格差が見られた。同機構は「人口当たりの生活保護受給者数が多い地域、精神病床を有する病院が少ない地域で多剤処方の割合が高いことが明らかになった」としている。

 

なお、生活保護受給者の多剤処方割合は、健康保険組合加入者の4倍に相当した。

 

◎多剤処方割合は減少傾向

 

調査では、2011年から2012年にかけて、多剤処方割合が減少していることも明らかにされた。107地域の3分の2にあたる72の地域で減少しており、中でも川越市、千葉市、兵庫県で大幅な改善が見られた。同機構は「診療報酬改定における減算規定の新設や医療扶助適正化に向けた対策により、全国的な多剤処方の減少につながった可能性がある」と考察している。

 

向精神薬の多剤処方はかねてから問題視されており、2012年の診療報酬改定では抗不安・睡眠薬の多剤処方の減算規定が新設された。2014年10月からはこの対象薬に抗うつ薬と抗精神病薬が追加されている。
 

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