Keytrudaの安全性 ラベルで優位引き立つ
公開日時 2014/09/19 03:50
米メルク社のPD-1阻害剤Keytruda(pembrolizumab)が9月4日、切除不能もしくは転移メラノーマ(黒色腫)の治療薬として米食品医薬品局(FDA)から迅速承認された。
Keytrudaの適応は、ブリストルマイヤーズスクイブ(BMS)のCTLA-4阻害剤Yervoy(イピリムマブ)やBRAF阻害剤が不応となった切除不能もしくは転移メラノーマである。PD1-阻害剤、CTLA-4阻害剤ともに免疫チェックポイント阻害剤という新規クラスの薬剤である。
Keytrudaのラベルには、同疾患にファーストラインの適応として同じ免疫チェックポイント阻害剤のYervoyと比べて、特に魅力的な安全性プロファイルを示すことが認められている。
同剤は、BMSのnivolumab、ロシュのMPDL-3280Aに先立って、米国で承認された初のPD-1阻害剤である。Nivolumabは、世界に先駆け、7月に日本で承認された。BMSの提携先・小野薬品は9月2日に同剤を発売した。同剤の日本での価格は年間143000ドルとみられ、世界市場の予想より高い。
メルクは、1週間以内に同剤を月12500ドルの薬価で発売する計画だ。承認の裏付けとなったフェーズI試験では、治療期間(中間値)は、6.2か月で、この期間を薬価に換算すると77500ドルとなる。臨床試験結果の分析では、患者の51%が6か月以上同剤の投与を受け、21%は1年以上となった。
同社は、「Keytrudaの薬剤費は、進行メラノーマに対する標準治療を含んだ他の画期的抗がん剤と足並みを揃えたもの」と話している。
同剤のラベルは、最近の学会で注目された、CTLA-4阻害剤に比べて比較的緩和なPD-1阻害剤の安全性プロファイルを強調している。Pembrolizumabのラベルでは、免疫介在性副作用の記述はあるが、警告や安全上の注意にはなく、黒枠警告もない。FDAは、同剤の承認の際に、肺、大腸、ホルモン分泌腺および肝において免疫介在性副作用が「稀に発現した」とコメントしている。
ラベルによると、最もよく見られる免疫介在性副作用は、肺臓炎で臨床試験では411例中の2.9%に発現した。重症度は、グレード2が8例(1.9%)、グレード3が1例(0.2%)だった。
同剤のラベルは、「もっともよくみられる副作用(患者の20%以上で報告された)は、疲労感、咳、悪心、掻痒、発疹、食欲不振、便秘、関節痛及び下痢」と記述されている。
The Pink Sheet 9月4日号