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【World Topics】薬剤の過剰投与という虐待

公開日時 2014/08/18 03:50

米国では、長期療養・介護施設での高齢者への抗精神病薬の過剰投与が問題となっている。メディアに大きく取り上げられる契機となったのは、2013年11月、米国司法省をして「米国の医療史上最大の不正事件のひとつ」と言わしめたジョンソン&ジョンソン(J&J)社およびその子会社の事件である。 (医療ジャーナリスト 西村由美子)


高齢者への処方が認められていない抗精神病薬などを、医師へのキックバックまで含むアグレッシブな営業で、高齢者に使用されると承知しながら、ナーシングホームなどに販売してきた帰任を刑事・民事の両法について問われたもの。同社には懲罰的罰金を含め総額2200億ドル以上の支払い命令が下った。 

http://www.justice.gov/opa/pr/2013/November/13-ag-1170.html


実際、腕や脚の単純骨折などの比較的簡単な外科手術の後にリハビリ目的でナーシングホームに入所したところ、1~2週間後には子どもの顔もわからなくなり、手術は成功したのに自力での歩行はおろか一人で立つこともおぼつかなくなった、などというケースが珍しくない。その原因が薬剤、特に抗精神病薬の過剰投与にあるとの認識が高まっており、薬剤の過剰投与も、暴力同様、患者への虐待であると指摘されるようになった。


全米1万5500か所のナーシングホームを調査したUCサンフランシスコのHarrington教授によれば、入所している患者の5人に1人は、服用の必要がないだけでなく、服用が危険でさえある抗精神病薬を投与されていると指摘。併せて、医薬品の投与に際して必要な法定のインフォ-ムド・コンセンントも行われていないのが現実だと指摘する。

最大の原因は職員の教育が不十分なこと(実際の介護を担っている介護助手:certified nursing assistantはわずか75時間の実習だけで取得できてしまう)、そして慢性的な人手不足。目も手も行き届かないケアの現場には、製薬企業の過剰な営業攻勢がつけいる隙が大いにあるということである。

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