アステラス SGLT2阻害薬スーグラ錠 育薬に向け非推奨患者の情報提供徹底
公開日時 2014/04/25 16:00
アステラス製薬の佐藤之彦営業本部長は4月22日、本誌と会見し、17日に発売した新規の経口血糖降下薬であるSGLT2阻害薬スーグラ錠について、推奨と非推奨の患者像を明確にした症例ベースのプロモーション活動を展開することで、スーグラ錠だけでなく、新しいクラスであるSGLT2阻害薬そのものを育成していく考えを示した。現時点で同社が設定している非推奨患者は▽痩せている患者▽高齢者――で、医師に慎重な判断を求める情報活動をしている。この結果としてMRは医師と症例ベースの話し込みをするきっかけにもなっており、医師の評価につながるケースも見られているという。
SGLT2阻害薬はその機序や臨床試験結果から、脱水リスクや体重減少作用などが指摘されている。ファーストインクラスの薬剤であることから、SGLT2阻害薬としての症例蓄積もこれからになる。佐藤本部長は、治療目標未達の糖尿病患者が少なくないことから、「新しい作用機序の薬剤で医師や患者から期待されている」と話したものの、「新しいクラスの適正使用情報を確実に提供・収集することで薬剤を育てるのはファーストインクラスのメーカーの使命」とも語り、適正使用情報の提供を中心とした活動を行っていることを強調した。
■佐藤営業本部長「症例ベースの話し込みを強めている」
SGLT2阻害薬は年内に最大6成分の発売が見込まれるなか、スーグラ錠は1番手で登場した。各成分の有用性にほとんど差がないといわれるほか、2番手が5~6月にも発売されるため、一部の医療機関からは「各成分をしっかり勉強してから、採用薬を決めたい」(在阪病院関係者)との声も聞かれる。ファーストインクラスの競争優位性に疑問符もつくところだが、佐藤本部長は、「(SGLT2阻害薬は)患者の症状などに応じた情報提供が特に必要であるため、患者の背景情報に触れる機会が多くなっている。糖尿病治療にフォーカスした症例ベースの話し込みを強めている」とファーストインクラスのアドバンテージを活かした活動が展開できていると語った。
アステラスにとっては、約2400人の全MRで情報提供を行う製品はスーグラ錠が初めてとなる。SGLT2阻害薬は最大6成分13社がプロモーションする激戦市場であり、こういった市場環境もアステラスが全MRを投入する理由のひとつとみられる。ただ、佐藤本部長は、DPP-4阻害薬の登場によって糖尿病治療を行う医療機関が増えたとの認識を示したうえで、「糖尿病治療を行っている多くの医療機関に適正使用情報を確実に提供するため全MRを投入する。競合薬の上市が相次ぐことが見込まれるなか、厳しい競合市場になることは否定しないが、適正使用情報の提供を徹底する目的で全MRが活動している」と話した。
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