ノバルティスのルセンティス 「病的近視における脈絡膜新生血管」にも使用可能に
公開日時 2013/08/22 03:50
ノバルティスファーマは8月20日、眼科用抗ヒトVEGFモノクローナル抗体ルセンティス硝子体内注射液(一般名:ラニビズマブ遺伝子組み換え)の適応に「網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫」と「病的近視における脈絡膜新生血管」を追加する承認を取得したと発表した。同剤は09年に「中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性症」の初のモノクローナル抗体医薬として発売されたが、新たな適応となるこの2疾患に対しても初の治療薬となる。
病的近視は、角膜から眼底までの奥行が異常に伸長しすることで起きる。その際、網膜も薄く引き伸ばされるため、網膜に切れ目が発生して、異常血管(脈絡膜新生血管)が発生することがある。異常血管はもろく、出血や血液成分が漏出しやすいため、漏出部位によっては視力低下を起こし、悪化すると失明する。既存治療にはレーザー光凝固や手術療法があるが、効果は十分ではなかったという。
一方、網膜静脈閉塞症では、網膜静脈に生じた血栓により血管内圧力が高まり、網膜内に血液成分が漏出し、眼底の中心部分に浮腫(黄斑浮腫)や出血が起こることで視力が突然低下するもので「目の脳卒中」とも言われる。失明する場合もある。既存治療では「病的近視における脈絡膜新生血管」と同様の方法があるが、黄斑浮腫に対する効果が確認された治療法は日本にはないという。
ルセンティスは脈絡膜新生血管や黄斑浮腫の発現に関与する血管内皮増殖因子(VEGF)を選択的に阻害し、疾患の発生や進行を抑制する。
加齢黄斑変性症では導入3カ月間に毎月1回投与するが、今回追加された適応では、導入時、維持期を問わず、投与間隔を1カ月以上あけて投与する。