NTTドコモと日本アルトマークは４月26日、アルトマークが今年５月にドコモの子会社になり、15年５月にドコモの100％子会社になることで合意したと発表した。メディカル・ヘルスケア事業に本格参入したいドコモと、これまで以上にメディカル事業を発展させたいアルトマークの方向性が一致した。ドコモが持つモバイル情報通信技術とアルトマークの持つ国内最大級のメディカルデータベースを融合させることで、「モバイルを活用した医療業界の情報プラットフォームの構築に取り組む」としている。

ドコモは今年５月15日に、アルトマークの発行済み株式の約77.5％を約26億円で取得する。ただ、アルトマークが製薬企業などに提供している医療施設や医療従事者のデータベース「メディカルデータベース（略称MDB）」は、「従来と変わることなく提供していく」（アルトマーク）としている。

ドコモは2015年度までの中期経営計画の中で、15年度までにイノベーションを起こす事業のひとつにメディカル・ヘルスケア事業を掲げている。11年度に40億円だった同事業の売上規模を、15年度には400億程度まで拡大させる。メディカル・ヘルスケア領域にモバイル情報通信技術を融合させることで、▽健康管理・予防支援サービス▽健保・福利厚生連携サービス▽受診・治療支援サービス――といった市場の創出を目指している。

今回のアルトマーク買収の発表資料でもドコモは、「医療分野における情報流通のイノベーションへの取り組みを進め、将来的に医療と生活者をつなぐ新たなメディカル・ヘルスケアサービスの創出を目指す」との考えを示した。

◎医療者向けサービス「MD+」と「medy」統合　アルトマーク「医師会員、格段に増える」

アルトマークはドコモ傘下入りの発表資料の中で、ドコモの技術・ノウハウを活用することで、「医療関連企業、医療関係者等への医療情報の提供や活動支援に関する取り組みを強化していく」とコメントした。

さらにアルトマークは12年８月から、提携企業が運営する医療関係サイトに、１つのＩＤとパスワードでログインできる医療関係者共通のアカウントＩＤ発行サービス「medy」を始めた。現在、提携会社やmedyアカウントを持つ医療関係者を増やす取り組みを進めている。そして、今回の傘下入りに先立つ形で、今年４月からドコモが医療者向けに展開していた手術・手技動画コンテンツを配信するサービス「MD+」を「medy」に統合することにした。これにより、「medy」を利用する医師が「格段に増える」としている。