第一三共とAZ ネキシウムのDTC戦略 デジタルメディア活用で潜在患者に疾患啓発
公開日時 2012/11/27 04:00
第一三共とアストラゼネカ(AZ)は、10月1日のネキシウム(一般名:エソメプラゾール)の長期処方解禁に合わせ、患者向け疾患啓発サイト「胸やけ・呑酸.jp」と一般向けレシピ投稿サイト「クックパッド」が提携するなど、DTC戦略の一環としてデジタルメディアの活用に乗り出した。逆流性食道炎(GERD)は、若年者にも潜在患者が広がっていることが指摘されており、多面的な戦略により、幅広い年齢層に疾患啓発を促したい考え。これにより、症状があるにもかかわらず、がまんしたり、OTCでしのいだりして受診まで結びつかない潜在患者に疾患について深く理解してもらい、早期受診に結び付けたい考えだ。
同社とクックパッドとの取り組みは、10月8日から1ヶ月間実施された。以前から、「胸やけ・呑酸.jp」サイト内では、GERD患者向けに胃や食道に負担をかけずに楽しめる旬の食材を用いた料理のレシピを掲載した“旬のごはん”を展開してきた。患者側から、胸やけや呑酸などのために、必要以上に食事を楽しむことを諦めているという声が多数よせられていたためという。
今回の取り組みでは、クックパッドの逆流性食道炎の疾患啓発特設サイトで、旬の食材である“鮭/さといも”、“大根/かぼちゃ”取り上げ、疾患啓発サイト「胸やけ・呑酸.jp」“旬のごはん”と連携させることで、疾患啓発のトップページへの導線とした。また、特設サイト上ではこれまでクックパッドの有料会員(プレミア会員)しか閲覧することができなかった、これら食材を用いたレシピを人気順で閲覧できるようにした。
家族や自分自身の健康を気遣う、女性がよく目にするクックパッドを活用することで、胸やけや呑酸などの症状があるにもかかわらず、受診に至っていない患者やその家族に、疾患について理解を深めてもらい、早期受診を促すのが狙い。これにより、患者の生活の質(QOL)向上に貢献したい考えだ。
サイトには、欧米ではプライマリケア医がGERDを診断する際に補助的に活用されている問診票GerdQをベースに作成した“お医者さんに相談シート”という自己記入式シートも掲載した。質問は、胸やけや呑酸の症状の有無に加え、症状による睡眠障害、処方薬に市販薬を追加して服用した回数有無をチェックし、生活へのインパクトも検討する。QLifeの近隣の医院検索も活用できるように工夫した。
相談シートの活用により、症状を簡便に説明できるようになることに加え、問診に時間を割くことの難しい医師にとっては、一目で患者の症状や病態が把握できるというメリットがある。
さらに、KOLによる酸関連疾患解説コーナーや運動療法などのコンテンツも幅広く揃え、受診前に自身の疾患について理解を深められるよう工夫した。これにより、受診時の医師と患者の対話が深まることも期待できるといい、医師と患者のリレーション構築にも一役かいたい考えだ。
◎プロモーション戦略でもMR+eを活用
一方で、プロモーション戦略でもデジタルメディアを活用した、“MR+e”戦略を押し進める。患者向けサイトに加え、医師向け情報サイトNexium.jp上に、コンテンツ「患者さんのために」を設置。プライマリケア医を中心とした医師向け資材として、患者向け冊子 “「逆流性食道炎」を治療される方へ”、患者が症状を把握できる“「胸やけ」「呑酸」ダイアリー”も展開、KOLからの解説ビデオも併せて掲載し患者のコンプライアンス維持に貢献したい考えだ。
これら資材は、サイトからのダウンロードも可能だが、同社のMRが実際に訪問して手渡しし、それとともに患者がチェックシートを持参した際のフォローアップのための情報提供も行っているという。