安全性情報の情報源トップはMR アクトス膀胱がんリスクで半数近くが一部処方中止 PMDA調査
公開日時 2012/08/17 04:02
医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、製薬企業からの副作用など安全性情報の伝達状況について医療機関を調査した結果をまとめた。それによると、薬剤師など医薬品安全管理者が日常的に積極的に活用している情報源はMRが77%と最も多く、次いで企業からのダイレクトメールが50%、厚労省の「医薬品・医療機器等安全性情報」は43%だった。
そのほか調査では、最近、ブルーレター発出や添付文書改訂により注意喚起がなされた抗凝固薬プラザキサカプセル、GLP-1受容体作動薬ビクトーザ皮下注、糖尿病薬アクトス錠の3薬剤について、具体的な安全性情報の入手・活用状況も尋ねた。
それによると、プラザキサでは「患者の状態による出血の危険性の考慮」は、ブルーレター発出以前から約9割の医師がしていたが、発出後はほぼ全ての医師が危険性を考慮するようになっていた。患者の出血、貧血などの兆候についても、「より注意するようになった」医師は6割程度いた。
ビクトーザについては、インスリンの代替薬と考え、高血糖などを発症したケースが問題になったが、ブルーレター発出前から、ほぼ全ての医師は「代替薬ではない」と認識していた。ブルーレター発出後では、インスリンからの切り替え時に「患者のインスリン依存状態に一層注意して確認するようになった」医師は約4割だった。
アクトスは膀胱がん発生リスクが問題になったが、「リスクが気になる」と回答した医師は約8割に上り、その後の処方行動を尋ねたところ、「全ての患者の処方を中止した」のは1割以下、「一部の患者で処方を中止した」のは46%以上と半数近くいた。
これら最近安全性情報が発出された事例からPMDAは、当該医薬品を処方しているにもかかわらず注意喚起内容を「知らない」と回答した医師がおり(プラザキサ:25%、ビクトーザ:52%、アクトス:23%)、その割合は「頻繁に処方している」医師よりも「たまに処方している」医師に多かったことを問題視。院内では「たまに処方する医師に対しても繰り返し情報を提供するなど、全ての処方医の記憶にとどまるように注意して情報伝達を行うことが必要である」とした。
また、注意喚起内容を「知っている」と回答した医師の所属する施設は、「知らなかった」と回答した医師の所属する施設より、多くの手段の情報伝達活動を実施している傾向にあったことを指摘。併せて、処方医との面会による説明や個別の検査状況の確認など、紙やメールに加え、処方医との対話や措置決定への関与なども、処方医が情報を確実に認知するためには有効であるとし、医療施設側に対応を促した。
なお、3薬剤のブルーレター、添付文書改訂による注意喚起の時期は次のとおり。
プラザキサのブルーレター:2011年8月12日発出
ビクトーザのブルーレター:2010年10月12日発出
アクトスの添付文書:2011年6月改訂