リバーロキサバン ポサコナゾールも併用禁忌に 厚労省が添付文書改訂を指示
公開日時 2024/05/09 04:49
経口抗凝固薬・リバーロキサバンとアゾール系抗真菌薬・ポサコナゾールを併用禁忌とする添付文書改訂が行われた。厚生労働省医薬局医薬安全対策課が5月8日、課長名で添付文書改訂を指示したことを受けたもの。ポサコナゾールによるCYP3A4の強力な阻害及びP-糖タンパクの阻害により、リバーロキサバンの血中濃度が上昇し、リバーロキサバンの抗凝固作用が増強され、出血の発現が懸念されると判断された。
リバーロキサバンはこれまでに、アゾール系抗真菌薬のイトラコナゾール、ボリコナゾール、ミコナゾール、ケトコナゾールとの併用が禁忌となっていた。今回ポサコナゾールも加わった。
このほか、コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム含有製剤やアモキシシリン水和物含有製剤の添付文書改訂も行われた。
添付文書の改訂指示があった医薬品は次の通り。
▽リバーロキサバン(製品名:イグザレルト錠、同OD錠、同細粒分包、同ドライシロップ小児用、承認取得者:バイエル薬品)
改訂概要:「禁忌(次の患者には投与しないこと)」の項に「ポサコナゾールを投与中の患者」を追記する。「相互作用」の「併用禁忌(併用しないこと)」の項に「ポサコナゾール」を追記する。
▽ポサコナゾール(ノクサフィル錠、同点滴静注、MSD)
改訂概要:「禁忌(次の患者には投与しないこと)」の項に「リバーロキサバンを投与中の患者」を追記する。「相互作用」の「併用禁忌(併用しないこと)」の項に「リバーロキサバン」を追記する。
改訂理由:リバーロキサバンとポサコナゾールを併用した際のリバーロキサバンの曝露量増加の程度を公表文献等から評価した。専門委員の意見も聴取した結果、ポサコナゾールによるCYP3A4の強力な阻害及びP-糖タンパクの阻害によりリバーロキサバンの血中濃度が上昇し、リバーロキサバンの抗凝固作用が増強され、出血の発現が懸念されることから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。
▽コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム含有製剤
①コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム(注射剤)(オルドレブ点滴静注用、グラクソ・スミスクライン)
②コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム(経口剤)(コリマイシン散、メタコリマイシンカプセル、同顆粒、サンファーマ)
③エリスロマイシンラクトビオン酸塩・コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム(エコリシン眼軟膏、参天製薬)
④クロラムフェニコール・コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム(オフサロン点眼液、わかもと製薬/コリナコール点眼液、ロートニッテン)
改訂概要:①について、「重要な基本的注意」の項に、低カリウム血症、低マグネシウム血症、低カルシウム血症があらわれることがあるので定期的に検査を行う旨を追記する。「副作用」の「重大な副作用」の項に「低カリウム血症、低マグネシウム血症、低カルシウム血症、代謝性アルカローシス」を追記する。
②③④は改訂不要。
改訂理由:低カリウム血症、低マグネシウム血症、低カルシウム血症、代謝性アルカローシス関連症例を評価した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム(注射剤)について、低カリウム血症、低マグネシウム血症、低カルシウム血症、代謝性アルカローシスとの因果関係が否定できない症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。
その他のコリスチンメタンスルホン酸ナトリウム含有製剤(経口剤及び眼科用外用剤)は、低カリウム血症、低マグネシウム血症、低カルシウム血症、代謝性アルカローシス関連症例の集積がなく、全身移行性も限られていることから、現時点では使用上の注意の改訂は不要と判断した。
低カリウム血症、低マグネシウム血症、低カルシウム血症、代謝性アルカローシス関連症例の集積状況:国内症例では、医薬品と事象との因果関係が否定できない症例は0例。海外症例では、①と事象との因果関係が否定できない症例は5例、うち死亡0例。②③④は各0例。
▽アモキシシリン水和物含有製剤
①アモキシシリン水和物(サワシリンカプセル、同顆粒、同錠、LTLファーマ 等)
②クラブラン酸カリウム・アモキシシリン水和物(オーグメンチン配合錠、クラバモックス小児用配合ドライシロップ、グラクソ・スミスクライン)
③ボノプラザンフマル酸塩・アモキシシリン水和物・クラリスロマイシン(ボノサップパック、武田薬品)
④ボノプラザンフマル酸塩・アモキシシリン水和物・メトロニダゾール(ボノピオンパック、武田薬品)
⑤ラベプラゾールナトリウム・アモキシシリン水和物・クラリスロマイシン(ラベキュアパック、エーザイ)
⑥ラベプラゾールナトリウム・アモキシシリン水和物・メトロニダゾール(ラベファインパック、エーザイ)
改訂概要:①②は、「重要な基本的注意」の項のショック等に関する注意喚起に「薬剤により誘発される胃腸炎症候群」を追記する。「副作用」の「重大な副作用」の項に「薬剤により誘発される胃腸炎症候群」を追記する。
③④⑤⑥は、「重要な基本的注意」の〈アモキシシリン水和物〉の項のショック等に関する注意喚起に「薬剤により誘発される胃腸炎症候群」を追記する。「副作用」の「重大な副作用」の〈アモキシシリン水和物〉の項に「薬剤により誘発される胃腸炎症候群」を追記する。
改訂理由:Drug-induced enterocolitis syndrome関連症例を評価した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、アモキシシリン水和物含有製剤とDrug-induced enterocolitis syndromeとの因果関係が否定できない症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。
また、注意喚起する事象名については、海外の添付文書や総説等では「Drug-induced enterocolitis syndrome」が用いられているものの、現時点で日本語表記の事象名として整理されたものはないことから、関連学会の意見も聴取した結果、「薬剤により誘発される胃腸炎症候群」とした。
薬剤により誘発される胃腸炎症候群関連症例の集積状況:国内症例では、医薬品と事象との因果関係が否定できない症例は0例。海外症例では、①と事象との因果関係が否定できない症例は2例、うち死亡0例。②と事象との因果関係が否定できない症例は5例、うち死亡0例。③④⑤⑥は各0例。