MR認定センター 大規模「MR実態調査」 処方の情報源 若手医師が「同僚などの医師」、40代以上は「MR」
公開日時 2012/08/16 04:01
MR認定センターは8月10日、MR活動の実態などを分析した「MR実態調査」の結果を発表した。MR、医師や薬剤師などを対象に実施したもので、処方に影響を与える情報源は医師全体では「MR」がトップだったが、年代別でみると若手医師(20~30代)は「同僚などの医師」「医学書・専門誌」の影響度が高く、「MR」をトップに挙げた40代以上の医師との違いが明らかになった。接待規制の強化に関しては、薬剤師の約50%が肯定的に受け止めていたのに対し、医師では20%強程度と認識に差があることも分かった。
調査では、医師や薬剤師、MRを対象に、①MRの訪問頻度・人数②情報源③MRに必要な能力④MRに伝えてほしい情報⑤接待自主規制について⑥今後のMR環境の変化⑦10年後、20年後のMR⑧MRからのよかったエピソード⑨上級MR認定制度について――などについて回答を求めた。また、MRや一般営業職に対して、①営業上欠かせないスキルや心がけている点②社内研修を受けている頻度③MRの認知度④MRに対するイメージ⑤MRに転職したいか――を聞いた。
◎薬剤処方の情報源 HPが「専門書・専門誌」、GPが「MR」
「薬剤処方の際に最も影響を与える情報源」で医師がトップに挙げたのは「MR」(24.4%)。次いで、「研究会・講演会」(21.8%)、「医学書・専門誌」(20.5%)の順に多かった。
これをHP(100床以上)、GP(100床未満)別にみると相違が見られた。GPは1位に「MR」(28.8%)を挙げたのに対し、HPは「専門書・専門誌」(23.8%)がトップで、MRは4位(19.9%)だった。さらに、医師の年代別にみると、「40代以上」での1位は「MR」だが、「30代以下」は「同僚などの他の医師」が1位で違いが出た。特に20代では40.6%が「同僚などの他の医師」を挙げた一方で、「MR」を選んだのは12.5%だった。
◎接待規制強化 医師と薬剤師で認識に違い
一方、「MRによる接待の自主規制強化」については、肯定的(「非常によい」「よい」と回答)に受け止めていたのは、医師の約25%に対し、薬剤師とMRは40~50%と認識に差がある。医師では「あまりよいとは思えない」という否定的な意見が多かったのも特徴で、HPの23.3%、GPの27.7%が回答(病院薬局は6.2%、保険調剤薬局は10.1%)していた。これを年代別にみると、年代が上がるごとに肯定的に受け止める割合が増加する一方で、50代の医師ではよく思っていない人の割合が他の年代より最も強い。診療科別では内科系の医師が否定的な見方が強いことが分かった。
「10年後、20年後のMRの望ましい情報提供スタイル」について聞いたところ、医師、薬剤師、MRともに、4~5割が「インターネットやコールセンターを通してなど、MRが訪問せずに対応」と回答し、「MRが直接、訪問して対応」の5~6割に拮抗していることも分かった。
◎回答 MR1万人超、医師2000人超
同調査はMR100周年事業の一環として、MR認定センターとエムスリー、フライシュマン・ヒラード・ジャパンが共同でインターネット調査を実施。MRと医師、薬剤師との意識のギャップを調査するともに、一般消費者の目線での状況を把握し、今後もMR活動やあるべき姿を検証するのが狙い。
従来の調査ではMRの回答者数は3000~4000人だったのに対し、今回の調査は製薬企業208社の1万6827人(課長、所長など=1248人、チームリーダーなど=1852人、MR=1万3727人)で、国内初の大規模調査。MR以外の回答者数は、医師が2129人(HP=1068、GP=1061)、薬剤師529人(病院薬局=322、保険調剤薬局=207人)、金融業界や自動車業界などの一般営業職1000人からも回答を得た。
医師の診療科別の内訳は、内科系が1363人、外科系が660人、その他系が106人。勤務先の経営形態は、大学病院が178人、国公立病院が289人、一般病院が783人、医院・診療所が868人、その他が11人。医師、薬剤師はm3.comの会員、一般営業職はm3提携調査会社(AIPパネル)の協力を得た。調査の回収期間は4月20日~5月21日。