独バイエル・フィビヒ社長 イグザレルト ドイツで14.2%の市場シェア 日本でも順調に推移
公開日時 2012/07/05 04:02
独バイエル ヘルスケア医療用医薬品事業責任者、バイエルファーマ社長のアンドレアス・フィビヒ氏は7月4日大阪で開かれた記者懇談会で、4月に上市された経口第Ⅹa因子阻害薬・イグザレルト錠(リバーロキサバン)について、非弁膜性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制の適応において、ドイツ市場では6月現在、売上高(出荷ベース)で14.2%のシェアを獲得していることを明らかにした。ドイツ市場では、競合品である、Pradaxa(ダビガトランエテキシラート、プラザキサ)の8.2%を上回る。この要因として、フィビヒ氏は、開発投資が大規模であったことを挙げ、欧州市場での成果について評価をみせた。
イグザレルトは、日本国内では4月に上市しており、医療機関での採用も順調に推移しているという。同剤の臨床第3相試験「J-ROCKET AF」では、日本人を対象に用量設定を行っていることについても言及し、“日本向けの”製品であることの意義を強調した。
そのほか、眼科領域のVGEF Trap-Eyeは、滲出性加齢黄斑変性(wet AMD)などの適応取得を目指す。同社にとって、初めての参入領域となるが、wet高齢化が進む日本での患者数が多く、また眼科領域に強みを持つ、参天製薬との販売締結し、市場でのプレゼンスを発揮したい考えだ。日本国内でも、早ければ年末にも承認される見通しという。
経口マルチキナーゼ阻害剤・レゴラフェニブは転移性大腸がん(mCRC)や消化管間質腫瘍(GIST)の開発を進める。mCRCの適応をめぐっては、米・FDAから優先審査の対象に指定されたことから、米国では来年の上市を見込む。
フィビヒ氏は、これらパイプラインについて、「短期、中期的に非常に強力」とし、同社の中でも、また他社と比べても「類をみない」と述べ、強力なラインナップに自信をみせ、「2013年に売上高2000億以上(薬価ベース)を達成できると確信している」と述べた。
また、日本市場での重要性についても言及。医療用医薬品売上高(2011年1~12月)でも、欧米がマイナス成長となる中にあって、前年比11.0%(為替調整後:6.0%)と中国に次ぐ成長をみせ、売上高も欧州/カナダ(35億100万ユーロ)、米国(16億900万ユーロ)に次ぐ11億5400万ユーロで、市場規模も魅力的であるとの考えを示し、「グローバル全体への影響を及ぼすほどのインパクトがある市場」と述べ、日本市場に強くコミットする考えを強調した。
そのほか、グルコバイ錠などのエスタブリッシュ3製品については、国内販売を富士フィルムファーマが行う契約を締結しているが、バイエル薬品代表取締役社長のセバスチャン グート氏は、富士フィルムファーマの糖尿病市場に注力し、病院市場でのプレゼンスを拡充したいとの目的と、同社のリソースをより革新的な、患者さんへのベネフィットをもたらすことに割きたいとの考えが一致したと説明。「日本市場について革新的な新薬である、パイプライン製品を市場に出すことに注力する」との考えを示し、人的リソースも含め、新薬に注力する姿勢を強調した。そのほかに約30製品、売上高で約200億ドル(NIHベース)のエスタブリッシュ製品のラインアップを揃えるが、「必ずしも他社との提携は視野に入れていない」と述べ、製品戦略については個別に立案する考えも示した。