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J&Jとバイエル 第Ⅹa因子阻害薬・Xarelto  ACSの適応拡大めぐり追跡データ欠損で承認に遅れ

公開日時 2012/06/29 04:00

ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)とバイエルヘルスケアは、第Ⅹa因子阻害薬・Xarelto(一般名:リバーロキサバン、日本ではイグザレルトとして販売)の「 急性冠症候群(ACS:acute coronany syndrome)患者の2 次性心血管イベント(心血管死、心筋梗塞、 脳卒中)の低減」についての審査完了通知(complete response letter)を受領したと発表した。同剤は、2012年2月27日に、優先審査の指定を受けているが、これにより承認は遅れる見通しだ。


この背景には、同剤の臨床第3相試験「ATLAS ACS 2-TIMI 51(Anti-Xa Therapy to Lower cardiovascular events in Addition to aspirin with/without thienopyridine therapy in Subjects with Acute Coronary Syndrome)」で、脱落症例を含め、データの欠損が多いことから、同剤の有効性・安全性に対して疑義があがったことがある。


5月23日に開かれた、FDAの心血管腎臓用薬諮問委員会(CRDA)では、6対4で同適応の承認の勧告をしないことを決定している。申請時の根拠とされた「ATLAS ACS TIMI51」は、ACS患者1万5526例を対象に、ACS患者において、現在の標準治療とされる抗血小板薬、アスピリンもしくは、アスピリン+クロピドグレルと比べ、同剤を上乗せすることの意義を検証した試験。試験結果では、同剤併用下での有用性が示されたが、インフォームド・コンセント(IC)の撤回や、試験中に脱落した症例が1000例以上おり、これら患者の追跡データを紛失したことから、同剤の有効性・安全性に対する疑念が持ちあがったことが非承認勧告の理由とされている。


米国では、すでに「膝関節置換術施行患者の下肢と肺における血栓塞栓症のリスク低減」、「 股関節置換術施行患者の下肢と肺における血栓塞栓症のリスク低減」、「 非弁膜症性心房細動患者の出血性・血栓性脳卒中と血栓塞栓症のリスク低減」の3つの適応を取得。バイエルの提携企業である、ヤンセン リサーチ&ディベロップメントLLC(JRD)は、深部静脈血栓塞栓症もしくは肺塞栓の治療、および静脈血栓塞栓症の再発予防の適応で申請中だ。同社はこれらの申請で、リバーロキサバンは、現在上市されている、あるいは参入を控えている新規抗凝固薬の中でも最も広範な適応を持つ薬剤になることを同剤の強みとしていた。


同社は、今回の審査完了通知については詳細を明らかにしていないが、The Pink Sheetの取材に対し、Paul Burton R&D担当副社長は、「可能な限り早急にFDAが問題としている点の解決に向け、FDAに協力していきたい」とし、さらに、ACSでの適応承認取得のために必要なデータを提出する意向を示している。


一部証券アナリストからは、クロピドグレルと同様、チエノピリジン系の新規抗血小板薬である、Effient(一般名:プラスグレル、第一三共、イーライリリー)、Brillinta(チカグレロル、アストラゼネカ)が上市されていることが背景にあるとの指摘もある。これら薬剤により、ACSのイベント発生低減が期待できることから、明確なデータがなければ承認を急がないのでは、との見方もあがっている。



(The Pink Sheet 6月22日号より)   

 

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