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中国 消化器用薬など対象に薬価引き下げ

公開日時 2012/05/17 04:00

中国の医薬品価格を管掌する国家発展・改革委員会(NDRC)は3月30日、消化器用薬53剤(300規格以上)の薬価引き下げを行った。平均引き下げ率は17%で、高薬価の製品は22%。5月1日から発効する。中国政府は今回の薬価引き下げで年間30億人民元の公的医療費の削減を期待している。


中国では、2010年6月に新たな薬価管理政策を発表。多国籍企業の製品で高品質のために高薬価だった製品や、特許切れの製品を主たる対象として薬価切り下げを行う方針にした。また、NRDCに薬価切り下げを独自に行わせる権限を持たせた。


NRDCは2010年10月にその権限を行使し、17薬効群製品の薬価引き下げを行った。次いで、2011年3月には、抗生物質、心血管系薬剤などを対象に平均21%の引き下げを、8月にはホルモン剤/内分泌系薬および中枢神経系薬を対象に平均14%の引き下げを行った。


米コンサルタント会社Monitor Groupは、「過去の薬価引き下げを見ていると、NDRCは多国籍企業と国内企業の製品の薬価差の縮小を目指す点では一貫している」と話している。


今度の引き下げでは、別途28剤(60規格)の消化器用薬が対象となった。消化器用薬市場は年20%で伸長、500~600億人民元規模に達している。同市場での成長No.1カテゴリーはPPI(プロトンポンプ阻害剤)だ。

PPI市場では、アストラゼネカがNexium(エソメプラゾール)やLosec(オメプラゾール)によって市場をリードし、2011年上半期には全消化器薬市場で13.4%のシェアを占有している。LosecはPPI市場の49.1%を、Nexiumは12.7%を占めている。


今回の薬価引き下げでは、グラクソ・スミスクライン(GSK)の制吐剤Zofran(オンダンセトロン)のような高薬価薬は大幅な引き下げを受ける。


GSKのZofranの最高販売(小売)価格は166人民元だが、国内企業の同剤は55.8人民元。この価格は2013年に予定されているZofranの上限価格の半分以下と大きな格差がある。


多国籍企業は、政府が製品の統一価格を強制するか、医師・患者らが国産品の品質に懸念を示さないようになるまで価格差を維持しようとするという見方も出ている。しかし、中国政府は、2月13日に、6500薬剤について品質を向上させる「医薬安全性5か年計画」を発表するなど品質向上への取り組みを加速させている。


一方、多国籍企業のなかには、中国での特許切れや価格維持の困難さに直面して、価格圧力をはねのけるための売上増を目的にブランドジェネリックに取り組む企業も現れてきている。


具体的には、ファイザーは、特許切れ製品のジェネリック品を早急に育成するためにGE企業のZhejiang Hisun Pharmaceuticalと組み、投資額5億4500万ドルの合弁企業(JV)を設立するほか、米メルクは、同社の心血管系用薬や代謝用薬のブランドジェネリックを発売する目的でSimcere Pharmaceutical GroupとJV]設立の覚書を交わした。アストラゼネカは、中国市場で抗生物質注射剤を生産・上市するために、ジェネリック企業Guandong BeiKang Pharmaceuticalを買収した。


NDRCは、薬価引き下げのほかにも以下のような改革を計画し、医療費削減を目指す。▽製造コストや出荷価格の見直しと監視▽外国価格を参照、統一価格や医療経済的分析の試行▽多国籍企業の高薬価製品の価格の一層の引き下げ▽医薬品流通局面での値上げの規制と流通業の統合の促進▽生産コストや市場価格の変動に対応したリアルタイムの価格調整メカニズムの確立▽R&Dやイノベーションを奨励する適切な価格付けメカニズムの実行と国際標準を持つジェネリック医薬品に対する薬価優遇――。中国市場での浸透を図る多国籍企業と薬価問題の今後の成り行きが注目される。

 

 

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