FDA 迅速承認をガイダンスなど通し強化
公開日時 2012/03/30 04:00
米食品医薬品局(FDA)は、迅速承認を一層推進させるために、現行パスウェイ(承認申請手続き)でまだ十分に活用されていない方法を駆使する考えだ。
FDAのJanet Woodcock医薬品評価研究センター(CDER)長は、3月7日の記者会見で、薬剤の有効性・安全性が十分に把握できるまえに、迅速承認する制度は、抗HIV薬、抗がん剤などで十分な成功を収めてきたとしながら、「しかし、それは多くの分野で十分に活用されていない」と話し、迅速承認のために現行制度のなかで十分に生かされていない制度を駆使することを明らかにした。
Margaret Hamburg長官も、「パスウェイが何であるか、また、それをどのように使うかの理解が十分でない」と指摘し、そのうえで、「このため、業界人の多数は、迅速承認が抗HIV薬や抗がん剤のためだけにあると信じており、FDAもコミュニケーション・チャネルをオープンにし、パスウェイ情報を詳しく提供しなければならないと話した。一方、連邦議会でも迅速承認拡大の法制化を考慮しており、FDAはそれも迅速承認の明確化を行う良い機会だととらえているが、新たな権限を求めてはいない。連邦議会からのステートメントは、迅速承認の一環として、臨床エンドポイントを使用することが役立つと指摘している。
Woodcockセンター長は、「我々は、迅速承認の一環として、臨床エンドポイントを使用することが、業界および医薬品開発に関与する人々に役立つばかりでなく、FDAのスタッフもこのステートメントの意味するところを明確にすることにもなる」とその趣旨に賛同している。同センター長は、3月8日の連邦議会下院エネルギー・商業委員会(HECC)でのPDUFA(処方せんユーザーフィー法)改定に合わせて、同問題の法制化を追加することに関するヒアリングでこの考え方について繰り返し述べた。
Hamburg長官は、7日の会見で、「我々はこの問題に慎重に対処したい。敢えて言わせてもらうと、この問題は議会の委員会でなく、科学者や専門家などに対応してもらいたい」と科学的な見解を聞きたいとの姿勢を示している。
Woodcockセンター長は、1999年に策定されたエビデンスに係る迅速承認基準の見直しを期待している。見直しにより、どのように有効性のエビデンスを示すか、生存あるいは従来の臨床エンドポイントではないサロゲートエンドポイントの使用をどのように拡大するかについての明確な説明を得たいと考えている。
同センター長は、「我々はガイダンスを発行したいと思っているばかりでなく、セミナーなども開催、関係者を正しい方向に持っていきたい」と新たなエンドポイント策定に意欲を示している。ひとつの可能性として、サロゲートエンドポイントでもなく、承認を裏付ける最終エンドポイントでもない臨床的アウトカムを使用する方法がある。
Woodcockセンター長は、その臨床的アウトカムについては考案する必要があるとしながらも、臨床的エンドポイントとして筋力などを評価する筋ジストロフィーの場合を例示、「いわば、臨床的サロゲートエンドポイントとして、それ(臨床的アウトカム)を使用することが出来る。薬剤が機能に作用を与えたかどうか待ちながら、FDAは迅速承認を与えることが可能でないか」と話す。
FDAは、まず、乳がんでの迅速承認の完全奏功についての新規のサロゲートエンドポイントの使用ガイダンスを近日中に発行する計画だ。
(The Pink Sheet 3月12日号より) FDAと米国製薬企業の情報満載 “The Pink Sheet”はこちらから