ファイザーのCrizotinibは個別化医療の先駆
公開日時 2011/09/15 04:00
ファイザーの局所限局進行もしくは転移非小細胞肺がん(NSCLC)治療薬ALK阻害剤のXalkori (crizotinib)が8月26日、同剤のコンパニオン診断薬であるアボットのVysis ALK Break Apart FISH Probe Kitと同時承認された。同剤は8月17日に承認された、ロシュ/ジェネンテクの転移黒色腫治療薬Zelboraf (vemurafenib)およびロシュモルキュラーダイアグノスティクスのコンパニオン診断薬V600E BRAF Mutationに続く、2番目の抗がん剤とコンパニオン診断薬の同時承認となった。
XalkoriはフェーズI試験データのみで5か月での承認。Zelborafは3.6か月、今年初めに承認されたジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)のホルモン抵抗性前立腺がん治療薬Zytiga(abiraterone)は4.3か月、また昨年、サノフィの同治療薬Jevtana(cabazitaxel)は2.6か月など、抗がん剤は生存期間で良好なデータを示すと承認が早くなる傾向だ。
ファイザーはXalkoriについては、PIIを省略、迅速承認の確認試験としてRCTのPIII試験「PROFILE1007」を開始する。同時にNDA(新薬承認申請)への追加試験としてPII試験「PROFILE1005」という単群試験も実施する。
Xalkori は薬剤とコンパニオン診断薬の同時承認がFDAの審査を迅速にさせたことは、分子学的に同定した患者集団では、いかにFDAの審査業務を速やかに運ぶかの輝かしい実例となり、個別化医療の将来展望の先駆になると見られる。
ファイザーのオンコロジービジネスユニットのMace Rothenberg副社長(臨床開発・薬事担当)は、「crizotinibは、治療薬と診断薬の開発を一緒に前進させる承認手続きについて現実に理解させる契機になると考えられる」と昨年10月の会見で話していた。
(The Pink Sheet 8月29日号より) FDAと米国製薬企業の情報満載 “The Pink Sheet”はこちらから