中外製薬 転移性悪性黒色腫治療薬開発へ ロシュから導入
公開日時 2011/08/17 04:02
中外製薬は8月15日、転移性悪性黒色腫を効能・効果としてロシュ社が欧米で申請中の「vemurafenib」を国内導入し、12年からフェーズ1を開始すると発表した。
海外でのフェーズ3(BRIM3試験 675人登録)では、標準療法であるダカルバジン1000 mg/m2 (3週間に1回)投与群とvemurafenib960mg1日2回投与群とを比較。10年12月末時点で、全生存期間の中央値は、vemurafenib群9.23カ月に対し、ダカルバジン群は7.75カ月。無増悪生存期間の中央値は、vemurafenib群5.3カ月に対しダカルバジン群は1.6カ月であった。
同剤は、がんの中でも、変異による細胞増殖を促す性質を持ったBRAF蛋白を標的にするBRAF阻害剤と呼ばれる。同蛋白を阻害することで腫瘍増殖を抑えることが期待される。同剤が効果があると考えられるのは、同蛋白変異のがんの中でもBRAF V600変異陽性。日本で悪性黒色腫の新規年間罹患数は1300~1400人とされ、そのうち約3割でBRAF蛋白の変異が認められ、V600変異陽性は同蛋白変異の9割程度という。