国内抗がん剤市場 19年までに1兆円超に 分子標的薬や併用処方増で
公開日時 2011/05/30 04:01
富士経済はこのほど、2019年の日本の抗がん剤市場が10年比73%増となる1兆1771億円まで拡大するとのレポートをまとめた。10年の同市場の規模は6822億円のため、今後9年間に約5000億円拡大することになる。この市場拡大の背景にまず分子標的薬の存在を挙げており、「現状では適応範囲が限られている薬剤が多いが、有効性が高いため対象疾患において第1選択薬となる薬剤が多く、薬価も非常に高いこともあり、抗がん剤市場のけん引役」としている。また、エビデンスの蓄積による併用処方の進展も市場拡大の一因としている。
一方、抗がん剤を含むがん関連用剤としては、19年に1兆2976億円(10年比68%増)まで拡大するとした。この約9割が抗がん剤ではあるが、がん患者のQOL向上を図る緩和医療の普及に伴って、がん性疼痛や悪心・嘔吐に用いる新薬も登場しており、富士経済は、これらがん関連製品の伸びも期待されるとしている。
◎免疫抑制剤市場 19年までに1000億円超に
そのほか、富士経済は免疫抑制剤(核酸合成阻害薬、細胞増殖阻害薬、リンパ球機能阻害薬、生物学的製剤)も19年までに大きく市場成長すると予測した。10年に597億円だった市場が19年に1113億円(10年比86%増)まで拡大するとしている。10年からの改正臓器移植法施行により、国内での15歳未満の者からの脳死下での臓器提供が可能になり、また、脳死下での臓器提供者本人の意思が不明の場合でも家族の意思により臓器提供が可能になったことなどを市場拡大の要因のひとつとしている。