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IQVIA 国内医療用薬の特許品市場 23年度までの5年平均成長率は+12.3% 市場全体は+1.9%

公開日時 2024/08/08 04:50
IQVIAジャパンは8月7日、日本の医療用医薬品の中の特許品市場について、2018年度から23年度まで5年間の年平均成長率(5年CAGR)はプラス12.3%だったと発表した。国内市場全体の5年CAGRはプラス1.9%だった。同社Thought Leadershipシニアディレクターのアラン・トーマス氏は同日のメディアセミナーで、「トップラインはほぼ横ばいの状況だが、ジェネリックへのシフトで得られた(薬剤費の)削減部分が特許品に振り向けられ、これが特許品市場の2ケタ成長の財源になっている」と説明した。特許品市場が2ケタ成長した要因は、「(欧米のような)価格主導ではなく、より革新的な医薬品への患者アクセスの増加によって伸びている」とし、人口の高齢化や新たなスペシャリティ医薬品/バイオ医薬品の恩恵を受けた患者の増加が主な要因だと述べた。

◎特許品市場 23年度に初の7兆円超え 「今後5~10年は世界2位であり続ける」

23年度の国内特許品市場は薬価ベースで7兆690億円だった。7兆円超えは初めて。市場全体では11兆3710億円だった。日本は、市場全体では米国、中国に次ぐ世界3位の規模だが、特許品市場にしぼると米国に次ぐ世界2位となる。トーマス氏は日本の特許品市場について、「今後5~10年は世界2位の規模であり続けると分析している」と述べた。

なお、トーマス氏によると、中国も革新的新薬へのシフトを進めており、国家償還医薬品リスト(NRDL)は毎年更新され、革新的新薬も償還対象となっているものの、NRDLへの収載と引き換えに大幅な価格譲歩も余儀なくされているという。結果、中国市場は23年度に1105億ドルのサイズになったが、このうち特許品市場は300~350億ドルにとどまるとし、「(特許品の市場規模は)日本は約650億ドルある。日本と中国でかなりまだ差がある状況」だと説明した。

◎特許品市場の成長率 「日本はグローバルと比較すると2~3%ポイント程度高い」

国内の特許品市場について詳細に見てみる。18年度時点で特許品だったもののうち、23年度まで特許が継続した製品の23年度売上は5兆8135億円。これに19年度~23年度に上市された新薬の売上1兆2558億円を合算すると、7兆円超の規模になる。23年度まで特許が継続した製品の18年度売上は3兆9547億円だったため、特許品市場の5年CAGRは12.3%となる。

この日本の5年CAGRが世界と比べてどのような水準なのかも気になるところ。この点についてトーマス氏は、「直接比較は難しい」とした上で、「日本はグローバルと比較すると2~3%ポイント程度高いと分析している」と語った。さらに、国内特許品市場の原動力はスペシャリティ医薬品やバイオ医薬品であり、日本政府が推進しているドラッグ・ラグ/ロス対策の対象医薬品の多くもスペシャリティ医薬品やバイオ医薬品のため、「製薬企業が日本にまだ入っていない医薬品に投資し、国内市場に製品導入することで患者アクセスも増えていく。さらに市場は拡大し、成長するとみている」との考えも披露した。

スペシャリティ医薬品の23年度までの5年CAGRはプラス13.5%、バイオ医薬品はプラス15.7%だった。特許品市場の5年CAGRを超える力強い成長をみせており、特許品市場をけん引しているといえる。23年度の市場規模は、スペシャリティ医薬品が3.6兆円、バイオ医薬品が2.5兆円だった。

◎薬価収載品市場 23年度は18年度比8954億円拡大 特許品・新薬で3兆円押し上げ

日本の薬価収載品市場(=インフルエンザ等ワクチンや検査キットを除いた市場)について、特許品/長期収載品/後発品といったセグメント別に、市場成長に対する貢献額(成長貢献額)を見てみる。成長貢献額は、18年度を起点に23年度までの5年間の市場規模の増減額をみたもの。

18年度時点の特許品を指す「既存特許品」は5年間でプラス1兆8587億円、「19年度以降の新薬」はプラス1兆2558億円で、特許品・新薬で計3兆円ほど市場を押し上げた。「19年度以降の新GE」はプラス4528億円だった。

これに対し、「既存LLP(長期収載品)」はマイナス1兆1787億円、「19年度以降の新LLP」はマイナス1兆2391億円、「既存GE」はマイナス2566億円――との市場縮小要因もあったが、結果として23年度は18年度から市場が8954億円拡大した。同社Thought Leadershipマネージャーの高山莉理子氏は、「長期収載品の縮小分を大きく上回る2兆円近い既存特許品の力強い成長と、新薬の回復により、市場が大きく拡大した」と説明した。

なお、13年度に3兆円あった長期収載品市場は、23年度に1.4兆円にまで縮小し、この10年間で市場規模が半減した。

◎28年度までの5年CAGRはプラス0.5%~1.5% 24年度改革加味すると「若干上方修正の可能性」

同社はこの日、国内市場の28年度までの5年CAGRがプラス0.5%~1.5%になるとの最新の予測も明らかにした。既存の予測値から特許品の成長率を上方修正するなどして算出したが、24年度薬価改定や薬価制度改革、ドラッグ・ラグ/ロス対策の市場に与える影響は加味していない。高山氏は、「24年度薬価制度改革などは現在作成中の29年度までの市場予測に盛り込んでおり、5年成長率は若干上方修正になる可能性がある」と述べた。
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