厚労省・検討会議 難病やがんなど8薬剤の公知申請妥当 4月末に保険適用へ
公開日時 2011/04/19 04:01
厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」は4月18日、約5カ月ぶりに会合を開き、8つの医薬品に新たに追加する適応症にについて、国内外で広く臨床で使用され、実績もあるとして、治験を経ずに承認申請できる「公知申請」が妥当との結論をまとめた。この結果は、4月下旬の薬事・食品衛生審議会の医薬品部会で了承されれば、正式承認を待たずに保険が使える特例措置が適用される。
公知申請が妥当とされたのは、医薬品そのものは承認されているものの、同会議が必要だと指摘した適応症については承認されていない「適応外薬」というケース。必要と指摘された適応症の承認申請についてメーカーによる「公知申請」を認めるもので、それは次の8成分。
▽追加適応「ネフローゼ症候群(副腎皮質ホルモン剤による適切な治療を行っても十分な効果がみられない場合に限る)」:製品名エンドキサン錠(一般名:シクロホスファミド水和物、会社名:塩野義製薬)
▽追加適応「クッシング症候群」:メトピロンカプセル(メチラポン、ノバルティスファーマ)
▽追加適応「腎移植における拒絶反応の抑制の小児適応」:セルセプトカプセル(ミコフェノール酸モフェチル、中外製薬)
▽追加適応「FIP1L1-PDGFRα陽性の好酸球増多症候群、慢性好酸球性白血病」:グリベック錠(イマチニブメシル酸塩、ノバルティスファーマ)
▽追加適応「消化管神経内分泌腫瘍」:サンドスタチンLAR筋注用(オクトレオチド酢酸塩、ノバルティスファーマ)。※(カルチノイド腫瘍のうち無症候性かつ切除不能な転移性腫瘍で要望されたもの)
▽追加適応「HER2過剰発現乳がんの術前化学療法」「転移性乳がんでの新用法・用量(3週間1回投与)」:ハーセプチン注射用(トラスツズマブ遺伝子組換え、中外製薬)
▽追加適応「乳がん」:パラプラチン注射液(カルボプラチン、ブリストル・マイヤーズ)。※(トラスツズマブとタキサン系抗がん剤との併用療法)
▽適応追加「小児用量の追加」「真菌感染症」:ジフルカンカプセル、同静注液(フルコナゾール、ファイザー)
同会議を経て公知申請された成分のうち、すでに承認されたのは7成分。申請中11成分。今回、妥当とされた8成分は、メーカーの開発工程表によると、6月に申請予定となっている。
検討会議 全ての要望の検討終了 2回目の要望募集へ
同会議は同日、学会などから承認要望のあった未承認薬・適応外薬374件(うち4件は当初から承認済)全てについて医療上の必要性についての検討を終えた。医療上の必要性が高いとされ、メーカーによる開発や公知申請が必要だとされた未承認薬が57件、適応外薬は129件。検討の要件となる海外承認がなく検討対象とならなかったのも104件あった。厚生労働省は、2回目の要望を募集することを決めた。募集開始時期など詳細は今後詰める。
この会議は、海外で広く使われているにもかかわらず、日本国内で未承認であったり、特定の疾病への使用が認められていない薬剤(適応外薬)について医療上の必要性を検討するもの。必要だと判断されれば、厚労省がメーカーに対し開発を要請したり、開発先の募集を行ったりし、国内で使用できるようにしていく。開発要請を受けたメーカーは原則、開発しなければならない。