mTOR阻害剤アフィニトール 米国で適応拡大へ
公開日時 2010/11/04 04:00
米食品医薬品局(FDA)は11月1日、ノバルティスの抗がん剤・mTOR阻害剤であるアフィニトール(一般名:エベロリムス)を遺伝性希少疾患の結節硬化症(TS)に伴う、上衣下巨細胞性星細胞腫(SEGA)の適応で承認したと発表した。
結節硬化症は、脳、眼、肺、肝臓、心臓、腎臓、皮膚などに良性腫瘍を起こす疾患で、遺伝子変異が原因とみられている。このうち、上衣下巨細胞性星細胞腫は6~9%の患者にみられる。脳内の腫瘍増大に伴う合併症を抑制するために、手術が行われるケースも少なくない。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のRichard Pazdur腫瘍薬製品部長は同疾患へは手術療法以外の治療がなかったと指摘し、同剤が臨床現場に登場する意義を強調した。その上で、「患者が治療法をあまり選択できない希少疾患の研究を続けることは重要」と希少疾患研究の必要性も訴えている。
同剤は、上衣下巨細胞性星細胞腫の有効性・安全性を検証するために、28例を対象とした臨床試験を実施。6カ月間の観察期間で、9例(32%)が腫瘍体積に50%以上の縮小を見た。現在、国内では「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」の適応で販売されている。