ジェンザイムの価値は1株当たり69ドル?それとも
公開日時 2010/10/27 04:00
仏サノフィ・アベンティスが敵対的買収をかけ、新たな段階に入ったジェンザイム買収問題。ジェンザイムは、10月23日米国・ニューヨークで開催した株主総会で、サノフィ・アベンティスによる1株当たり69ドルという買収提示価格がいかに同社の企業価値を低く見積もっているかを訴えた。
ジェンザイムは総会で、2011年の業績見通しを発表。売上高を50~51億ドル、EPS(1株当たり利益)を4.30~4.60ドルと見通した。
その根拠として、製造上の欠陥を指摘され、供給不足に陥っていた、セレザイム(イミグルシラーゼ)、ファブラザイム(アガルシダーゼ)の生産回復の見通しやコスト削減策などを上げた。
さらに長期的には、同社がピーク時に30億ドルの売上を期待する多発性硬化症治療薬alemtuzumab(2012年発売予定)が発売された2013年には73~75億ドルの売上高を見込んでいる。
このため、ジェンザイムは、1株当たり89ドルが適切と見ている。しかし、サノフィ・アベンティスはそれを「非現実的」と反発している。
ISIグループのアナリストは、ジェンザイムの2013年売上見通しは、アナリストの一般的予測よりも6%高く、EPSも高すぎると指摘している。一方、別のアナリストは、1株当たり89ドルという値は売却のためのベンチマークとして提示したのではなく、「ジェンザイムの経営者が、同社価値の基準値として、一般的予測から離れて、第3者の買収者への参考にさせることを試みている」と見ている。
現状のまま、ホワイトナイト(第3者の買収者)が出現しないと、次の動きはサノフィ・アベンティスからもたらされるとの見方が有力だ。
(The Pink Sheet Daily 10月22日号より) FDAと米国製薬企業の情報満載 “The Pink Sheet”はこちらから