アストラゼネカ 大学との提携でR&D早期段階を強化
公開日時 2010/10/05 04:00
ビッグファーマが、R&D経費とリスク分散のために、大学や非営利団体との提携に力点を置いている。従来の提携と異なるのは、優先課題となっていない化合物/分野の研究でそれを推進し、新たな道を切り開こうとしていることだ。
英・アストラゼネカ(AZ)は、ロンドン大学ユニバーシティカレッジの協力で従来からのがん慈善団体キャンサー・リサーチUKとの提携を拡大した。具体的には、眼科領域で、幹細胞の再生能力を活用し、糖尿病性網膜症の治療薬を開発する。AZは、これまで幹細胞研究を創薬のターゲットとせず、研究の手段として位置づけていた。
幹細胞研究で、大学と提携を行っているのは、AZばかりでなく、ファイザーもロンドン大学ユニバーシティカレッジと加齢黄斑変性症(AMD)の治療薬開発で、グラクソ・スミスクライン(GSK)はハーバード大学のハーバード幹細胞研究所と5年間の共同研究契約を締結している。
9月13日、AZとがん慈善団体キャンサー・リサーチUKは、両者の“臨床開発パートナーシップ”というプロジェクトを通じ、低分子抗がん剤AZD-3965の評価を行う計画を発表した。
プロジェクトは、開発の早期段階であるフェーズⅠ/Ⅱaにある医薬品候補物質に対し、がん慈善団体キャンサー・リサーチUKが資金を出資し、評価するというもの。結果はAZと共有するが、AZが開発中止と判断した場合には、がん慈善団体キャンサー・リサーチUKの技術移転部門に開発の権利は移るとしている。
(The Pink Sheet 9月20日号より) FDAと米国製薬企業の情報満載 “The Pink Sheet”はこちらから