米FDA諮問委 新規抗凝固薬ダビガトラン承認勧告 10月にも正式承認
公開日時 2010/09/21 04:06
米国・FDAの循環器・腎臓諮問委員会は9月20日、新規抗凝固薬・ダビガトラン エテキシラートの承認をめぐり、9票(賛成)対0票(反対)で承認勧告を行った。
◎米国での販売名は「Pradaxa」
同剤の適応は、「心房細動患者に対する脳卒中発症予防」で、ベーリンガーインゲルハイムが開発を進めてきた。米国での販売名は「Pradaxa」。順調にいけば、10月19日までに正式承認される見通し。この承認勧告は、日本人約300人を含む44カ国、1万8113人を対象に実施された臨床第3相試験「RE-LY」試験に基づく。日本では、日本ベーリンガーインゲルハイムが開発を進め、申請時期は非公表だが、日本でも現在、承認申請中。
同剤は、直接トロンビン阻害薬と呼ばれる新規作用機序の薬剤。血液凝固カスケードの下流にあるトロンビンを可逆的に阻害する。血栓形成を促すトロンビンを阻害することで抗凝固作用を示す。
これまで抗凝固薬として長年にわたり、ワルファリンが用いられてきたが、食物や薬物との相互作用がある点や、有効性と毒性を示す間である“治療域”が限定されており、用量調節の難しさも指摘されていた。同剤は、このようなワルファリンの使用の難しさを克服するアンメット・メディカルニーズを満たす薬剤として期待されている。
◎年間100億ドル以上の市場インパクトとも
9月20日付のロイター紙が報じたところによると、ワルファリンからの切り替えが進むと、年間100億ドル以上の市場規模が見込まれると説明している。
抗Xa剤として、ファイザー、ブリストル・マイヤーズが開発を進めるアピキサバン、バイエル社のリバロキサバン(販売名:Xarelto)、メルクのベトリキサバンがあると紹介した上で、ピーク時の予想売上高については、アピキサバンを61億ドル、リバロキサバンを52億ドル、ダビガトランを46億ドルとしていることも証券アナリストのコメントとして紹介している。なお、米国での心房細動患者は230万人、2050年には560万人に増加すると推計されている。
【訂正】米国での心房細動患者数に誤りがありました。訂正致します。記事は訂正済み。