民主党脳卒中対策推進議員連盟(会長=田中慶秋衆議院議員)は6月8日、国会内で2回目の総会を開き、2011年の次期通常国会に脳卒中対策基本法案を議員立法として提出する方針を固めた。議連の田中慶秋会長は総会で、脳卒中対策基本法の骨子案取りまとめに強い意欲を示し、「来年度予算案に少しでも反映したい」と強調した。
総会で石森久嗣幹事長は脳卒中対策基本法について、がん対策基本法と同じ理念法の位置づけにする考えを示し、制度の円滑運用を目的とした脳卒中対策推進基本計画もあわせて策定する必要性を指摘した。また、現在の脳卒中治療をめぐる医療体制についても、「すでに地域差がある中で、どこまで均一化するかが課題」との見方を示し、施設整備に関する予算確保の重要性にも言及した。
事務局長を務める三村和也議員はまた、脳卒中治療の現状に触れ、患者の救急搬送や発症予防、リハビリ、患者のQOLなどに課題が山積しているとし、今回の法制化とは別に医療提供体制のあり方についても議論を深める考えを示した。
◎「脳卒中治療の質の評価体制構築に期待」 阪大・磯教授
総会のヒアリングで大阪大学大学院医学系研究科社会環境医学講座の磯博康教授は、法制化により地域ごとに脳卒中治療の質に関する評価体制が構築されることに期待感を示した。昭和大学医学部救急医学講座の有賀徹主任教授は、東京都の脳梗塞患者に対するt-PAの実施率が8.5%で、全国標準を上回ることを紹介。その理由として、搬送から治療まで一貫した地域医療体制を構築したことをあげ、体制整備の重要性を強調した。熊本病院神経内科の橋本洋一郎部長は、脳卒中治療において、回復期・維持期から在宅療養へ移行する際の現在の体制に課題があることを指摘。シームレスな体制整備の必要性を強調し、法整備の必要性を訴えた。