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武田薬品・長谷川社長 卸の過剰な価格競争を一喝

公開日時 2009/11/13 04:02

武田薬品の長谷川閑史社長は11月12日、都内で開かれた日本医薬品卸業連合会主催の医薬品卸業経営セミナーで講演し、卸経営が苦境に陥った一因の過剰な価格競争に触れ、「絶対にやってはならない」と一喝。卸経営陣が強い姿勢で対処するよう強く求めた。講演では、11日の行政刷新会議、日本製薬団体連合会が提案する新薬価制度の議論の見通しにも言及した。

同社長は、卸側の流通改善への努力に敬意を示しつつも、「再編でかなりの寡占状態になってきているにもかかわらず、停滞する国内市場で、価格で勝負してシェアを取ろうという不届きな考えをお持ちのところがあるように見受けられる。これは絶対にやってはならない。お互いに体力をつけた段階でやると、やったらやり返せとなり、お互いに足を引っ張り、市場を縮めあう。長い目で見ても国民の利益にもならない。我々が血がにじむような努力と膨大な時間と金をかけて生み出した製品が、シェア競争のために必要以上に値段を引き下げられるのは断腸の思いだ」と強く訴えた。

停滞する国内市場での過剰なシェア争いはパイの食い合い、共倒れのおそれもあることから、経営トップ自らが過剰な価格競争をやめさせる姿勢を明確が示す必要性を指摘。「価格が大事だと本気でそう思うなら、支店、営業所でそういうことを守らずに商売した人には厳しい処置を取らなければ、現場には伝わらない」と、対応を促した。大きな成長が望めない国内市場では、量的な成長から質的な成長への転換が必要だとし、価格管理、適正なサービス、徹底したコスト管理、国・メーカー依存から自己責任を軸に取り組むことを求めた。

過剰な価格競争を戒めたのは、新薬価制度案の柱である薬価維持特例では価格を大幅に下落させないことが必要であることも念頭にあるとみられる。その新制度案については、「メディアの方がいることを前提に、奥歯にモノが挟まった話し方になるが」と断った上で、「民主党政権になっても、(新制度導入の)論理性、必然性、グローバルスタンダードとの比較からして特殊なことを言っているわけではなく、認識されていると確信している。私の限られたコンタクトの中でも、そういうご理解が浸透していると認識している」と話した。

11日の行政刷新会議で、特許切れ後製品市場の薬剤費を圧縮していく方向になったことにも触れ、折り込み済みとの認識を示した。「長期収載品の薬価を一方的に引き下げる動きには若干の疑念が残る」としたものの、特許切れ後はGEを含む安価な製品が使われるのが世界の流れだとして「そういうこともありうべしと考えた上で(新制度案は)パッケージとなっていると考えている」とし、今後は刷新会議が示した方向性に対し「業界としての対応を考えていかなければない」と述べた。

 

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