FDA 腎性シスチン蓄積症治療薬を承認
公開日時 2013/05/09 05:00
米食品医薬品局(FDA)は4月30日、遺伝性疾患である腎性シスチン蓄積症治療薬Procybi(システアミン酒石酸塩)を承認した。
同剤は、患者が米国で500人、全世界で3000人といわれる希少疾患のため、希少疾病薬の指定を受けている。同疾患は、小児期に早期に治療を受けない場合、シスチンと呼ばれるタンパクが身体のあらゆる細胞に蓄積し、腎臓に蓄積すると、腎臓障害を起こし、尿によって糖分、塩分、タンパクが過剰に排泄される。そのため、成長が遅れ、低身長、骨の脆弱化、腎臓障害の悪化などを来たす。
FDAは、現在までに、シスチン蓄積症については、速効型薬剤のCystagon(システアミン酒石酸塩)を1994年に、また、角膜シスチン結晶蓄積症にCystaran(システアミン点眼液)を2012年に承認している。
Procybiは、6歳以上の小児および成人を対象としている。長時間作用型で12時間ごとに服用。既存のCystagonは、シスチンレベルと維持するために6時間後服用だった。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)消化器・先天性疾患治療薬部のAndrew E Mulberg 次長は、「Procybiは、FDAが承認した腎性シスチン蓄積症に対する唯一の徐放性製剤であり、この希少疾患患者に重要な新規の治療オプションを提供するもの」と同剤の登場を歓迎した。
同剤の有効性および安全性は、43例の成人および小児を対象に、Procybi投与群とCystagon投与群に無作為に割り付けて実施された。血液検査の結果、Procybiは、シスチンレベルを維持することにおいて、Cystagonと同等だった。
システアミン製剤の主な副作用は、悪心、口臭、腹痛、便秘、消化不良、頭痛、傾眠など。希だが重篤な副作用として、消化器潰瘍・出血、重度の皮膚発疹、アレルギー反応などが見られた。
Procybiは、Raptor Pharmaceuticals(本社:カリフォルニア州ノバト)が発売する。Cystagonは、マイラン(本社:ペンシルバニア州キャノンズバーグ)が、また、Cysteranは、Sigma-Tau Pharmaceuticals(本社:メリーランド州ゲイザーズバーグ)が販売している。