米ブリストルマイヤーズスクイブ(BMS)が70億ドルでベンチャーのAmylinを買収、直ちにAmylinのオハイオ州の最先端工場などの資産を英アストラゼネカ(AZ)に34億ドルで売却、BMSとAZがAmylinの株式を折半で所有することになったが、GLP-1 受容体作動薬に強いAmylinだけに、BMSとAZがGLP-1受容体作動薬における競争を激化させるとの評判だ。
GLP-1受容体作動薬は現在最も成長が目覚ましい領域で、市場調査会社Decision Researchによれば、2011年の同クラス薬剤の売上17億ドルから2020年には70億ドルへと急成長が見込まれている。
Amylinは、最新のGLP-1受容体作動薬であるBydureon(エキセナチド徐放性製剤)を発売したが、最大のライバルは、ノボノルディスクのファースト・イン・クラスのGLP-1受容体作動薬のVictoza(リラグルチド)であり、ノボはGLP-1 リーダーの地位を一歩も譲らない構えだ。
BMSは、DPP-4 阻害剤Onglyza(サキサグリプチン)とKombiglyze(サキサグリプチン/メトホルミン配合剤)を米国では2011年に合計4億7300万ドル売り上げている。BMSはKombiglyzeを2011年に市場に投入、素晴らしい発売となったと評価している。
しかし、メルクのDPP-4 阻害剤Januvia(シタグリプチン)とJanumet(シタグリプチン/メトホルミン配合剤)は2011年には50億ドルを売上、この牙城を崩すことは至難の技だ。
BMSとAZは、不利な状況を覆すためにSLGT-2阻害剤Forxiga(ダパグリフロジン)の発売準備を進めている。2012年1月には米食品医薬品局(FDA)から追加試験を求められる審査完了通知を受領したが、欧州医薬品庁(EMA)ヒト医薬品委員会(CHMP)からは今年4月に承認勧告を受けた。
両社の提携によるAmylinの買収は、両社のポートフォリオにByetta(エキセナチド)の1日2回投与剤とBydureonの週1回投与剤を加えるほか、コスト面でのシェアリングなどをもたらした。
BMS、AZともに今回の買収が直ちに利益をもたらすとは考えておらず、2014年になって僅かな貢献をし、2010年代末になって大きな利益をもたらすと見ている。
エキサナチドが高額買収の価値があるかどうかはまだ分からないが、BMSとAZは同剤の世界市場を構築し、現在、スペシャルティのチャネルを通しているのをプライマリーケア医に浸透させることが出来るかどうか、また同剤の新剤型や新投与デバイスを開発できるかにあると考えている。現在、ビッグファーマは、多数のGLP-1の競合品を開発しているが、これもBMSとAZ成功のカギのひとつである。だが、BMSとAZはAmylinに70億ドルを支払ったのは高すぎると投資家の多数が批判しているのも確かである。
GLP-1の市販状況および開発状況は以下の通り。
*Amylin Byetta(エキセナチド) 市販 1日1回投与
Bydureon(エキセナチド徐放製剤)市販 週1回投与
Exenatide monthly フェーズII 月1回投与
*ノボノルディスク
Victoza(リラグルチド) 市販 1日1回投与
Liraglutide/degludec (basal insulin) フェーズIII 定用量配合剤
Semaglutide 2013年フェーズIII開始予定 週1回投与
NN9924 フェーズI 経口投与
NN9926 フェーズI 経口投与
*イーライーリリー/ ベーリンガーインゲルハイム
Dulaglutide フェーズIII 週1回投与
*グラクソスミスクライン/ Human Genome Sciences
Albiglutide フェーズIII 週1回投与、ファインゲージ針
*Intracia Therapeutics
ITCA―650 フェーズIII 小型浸透圧ポンプ技術を活用したエキサナチドの年1回投与
*サノフィ/ Zealand Pharma
Lyxumia (リキセナチド) 承認済み 1日1回投与
Lyxumial Lantus (インスリン グラルギン) フェーズIII 定用量配合剤
The Pink Sheet 7月9日号