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第一三共・眞鍋CEO 健康医療データの「集約」「共有」「利活用」を加速 医療DXでイノベーション促進

公開日時 2023/10/12 04:51
第一三共の眞鍋淳代表取締役会長兼CEOは10月11日、横浜市で開幕したBio Japan2023の基調講演で同社が目指す「トータルヘルスケアプラットフォーム」の全体像を語った。個人単位の健康医療データの「集約」、「共有」、「利活用」を推進することで、患者個々が最適な健康・医療ソリューションを選択できる環境を整える。一方、製薬企業、医療機関、自治体・行政もプラットフォームを介して新たなソリューションを開発するなど価値の創出が可能となる。眞鍋CEOは、「今まで診療報酬で手当してきた医療、診断、手術、調剤などが効率化され、そのリソースを今後需要が高まる介護関連費用に充てることも考えられる。社会保障費の適切なアロケーションでも、医療従事者の役割の面でもドラスティックに変えるだけの力がDXにはある」と述べ、プラットフォームを実現する意義を強調した。

「限られた医療財源や生産人口の減少等に伴う医療人材不足の観点から、医療DXの推進は不可欠だ。製薬産業としても医療DXを活用した創薬・製造・情報提供などの効率化に努力する必要があると思う」-。眞鍋CEOは、こう強調してみせた。

同社は、第5期中期(2021~2025年度)経営計画と2030年ビジョンで、「サステナブルな社会の発展に貢献する先進的グローバルヘルスケアカンパニーを目指す」との方針を打ち出している。特に重視するのが政府のSociety5.0で掲げたデジタル社会におけるヘルスケアサービスの実現だ。

◎「HaaS(Healthcare as a Service)の実現」

具体的な施策として同社は、「HaaS(Healthcare as a Service)の実現」を掲げる。健康領域と医療領域のデータを個人単位でつなぎ、データ提供者の視点と、データ受領者(医療機関、製薬企業、行政等)における利活用と新たな価値創出につなげるトータルケアプラットフォームを実現するというものだ。

◎健康医療データをデジタル化して「集約」

トータルケアプラットフォームのイメージは、母子手帳、健康診断、ワクチン接種歴、ライフログ、診療・診断、調剤、生活情報などの健康医療データをデジタル化して「集約」するもの。生活者がデータを管理し、必要に応じ、本人同意の元で、データ受領者の医療機関、製薬企業、行政・自治体と「共有」することができる。これによりデータ管理者は、ライフログに沿った健康サポートなどが受けられる。特に、在宅治療期間を含めた継続的なデータの収集が可能になる。一方、データ受領者は、データを「利活用」することで、新たなデジタルソリューションとして新たな価値を創出することにつなげることができる。

◎データの「共有」で データ提供者・受領者の双方にメリットが生まれる

眞鍋CEOは、「トータルケアプラットフォームは分散している個人の健康医療データを名寄せ・突合し、データ流通環境を可能とするIT基盤だ」と強調する。さらに、「データを個人単位で集約し、プラットフォーム上で共有・利活用することで、データ提供者である個人とデータ受領者の双方にメリットが生まれる。個人にとってはデジタル化による利便性の向上にとどまらず、ライフ事案に沿った健康サポートやケア、QOL向上といった最適なサービスを受けることができる」と指摘した。

◎データの「利活用」 追跡が難しかった患者の院外行動や治療効果を把握 医療そのものを変えていく

一方、データ受領者のメリットについて、「医療機関は、これまで追跡が難しかった患者の院外行動や治療効果を把握できる。ライフサイエンス企業にとっては新規ビジネスの開発やバリューチェーンの高度化に貢献できる・自治体・行政は、リアルワールドデータに基づく保健医療の効果測定などが可能になる」と指摘。「健康医療ビッグデータと革新的なデジタル技術の活用は、イノベーションを促進し、医療そのものを変えていく」との考えを披露した。
 
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