再生医療でハーモナイゼーション推進を アジアでの統一市場目指す APACRM
公開日時 2019/04/15 03:50
再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)の戸田雄三会長は4月12日、都内で第2回アジア再生医療団体連絡会議(APACRM)後の会見に臨み、「各国・各地域での試験結果等の共有化および臨床開発にかかわる時間とコストを削減すること」を目標に掲げたハーモナイゼーション推進で合意したと発表した。規制調和を通じ、アジア全体が統一された市場となるような包括的な連携を目指す。再生医療をめぐる競争が世界的に激化するなかで、アジアとしての競争力を高めたい考え。会議では、「ヒト間葉系幹細胞(MSC)」をテーマに、品質・同等性や安全性などへの理解を各国間で深めた。継続的な議論を通じ、早期に各国間の合意事項を積み重ねていきたい考えだ。APACRMの開催は昨年の初開催に次ぐ2回目。
戸田会長はアジアでの規制調和の姿として、規制当局が独立性を保ったうえで、相互承認を行う姿を掲げた。戸田会長は、「実務レベルで、各国がやってよかったという実績を積んでいく姿があってもよいのではないか」との考えを表明。「ビジネスや生活習慣、経済背景は欧米とは違う。アジアオリジンがあってもいいのではないか」と述べた。実現は難しいとしたうえで、「再生医療は日本のお家芸だ」、「究極はジャストコピー」と述べ、日本の承認だけでアジア各国が承認する姿を“理想”として口にした。
11日に開かれた本会議では、①品質等のクライテリア、②非臨床試、③臨床試験結果の共有等の取扱い、④原材料物質のサプライヤーを含めた品質管理およびトレーサビリティーの4構成で、ラウンドテーブルディスカッションを行った。志鷹義嗣副会長(アステラス製薬)は、各国間の理解が深まったことに自信をみせ、「基盤が同じになればいいが、なるべく近づくものを作っていきたい」と意気込んだ。今後は、▽品質・同等性の基準、▽前臨床試験結果・臨床試験結果などの共有化―を検討するワーキングを立ち上げ、定期的な協議を継続する。