小児急性リンパ性白血病の初回再発で医師主導治験 高リスク患者対象 国がんなど9施設で
公開日時 2017/03/03 03:50
国立がん研究センター中央病院はこのほど、小児の急性リンパ性白血病で1回目の再発で高リスクと判断された患者を対象に医師主導治験を全国9施設で実施すると発表した。初発例の治療成績は年々向上し、5年生存率は80%を超えるとされるが、再発例で特に高リスク群では予後は不良で、新しい薬物療法の開発が必要とされているという。
小児がんに対する治験は、症例数が少ないなどの理由から製薬会社で行うことが難しいため、医師主導治験を行うことにした。日本小児がん研究グループ(JCCG)で小児の急性リンパ性白血病の再発に対する治療を行う多施設共同の第II相試験として行う。
治験を行う薬剤は、多発性骨髄腫などの標準治療として使用されるボルテゾミブで、従来小児の急性リンパ性白血病の治療に使用される薬剤5剤との多剤併用療法。第I相試験では2度目の再発や、同種造血細胞移植後の再発、T細胞性リンパ性白血病の再発などの患者3例で行い、全例で寛解(骨髄中の白血病細胞が5%未満となっている状態)という結果が得られたという。
治験の対象は、小児急性リンパ性白血病の1回目の再発患者のうち、高リスク群の患者。高リスク群とは、T細胞性リンパ性白血病の骨髄再発と、B前駆細胞性リンパ性白血病のうち初発から短い期間に骨髄再発をきたした患者で、高リスク群が治癒する確率は現在35%という。
参加施設は次のとおり。国立がん研究センター中央病院、福島県立医科大学附属病院、国立成育医療研究センター、神奈川県立こども医療センター、国立病院機構名古屋医療センター、新潟県立がんセンター新潟病院、京都大学医学部附属病院、三重大学医学部附属病院、兵庫県立こども病院。