米FDA MM治療薬Emplicitiを承認
公開日時 2015/12/03 03:50
米食品医薬品局(FDA)は11月30日、モノクローナル抗体製剤Empliciti(elotuzumab)について、多発性骨髄腫(MM)の適応で承認した。同剤の適応は、1種から3種の治療受療歴のあるMM患者で、Revlimid(レナリドミド)およびデキサメタゾンとの併用下で用いる。
同剤は、骨髄細胞やナチュラルキラー(NK)細胞の表面に発現するタンパクであるsignaling lymphocyte activation molecule family 7(SLAMF7)を標的とする免疫賦活抗体。NK細胞上のSLAMF7と結合することでNK細胞を直接的に活性化させる。さらに、骨髄腫細胞上のSLAMF7と結合して、NK細胞による骨髄腫細胞攻撃のシグナルを発信する。同剤は、FDAから画期的新薬指定(BTD)、優先審査ならびに希少疾病薬の指定を受けている。
販売は、米Bristol-Myers Squibb社(本社:ニューヨーク州ニューヨーク市)。
BMSのFrancis Cuss最高科学責任者(CSO)は、「我々BMSは、一定の難治がん患者の期待を上回るような、がん治療の革命の先陣を切っている」と自社開発への自信を示したうえで、「Emplicitiは、再発もしくは難治MM患者の免疫系に直接作用する、従来とは根本的に異なるアプローチによって、必要な患者のアウトカムを改善する」とコメントした。
なお、Revlimidは、米Celgene社(本社:ニュージャージー州サミット)が販売している。
米国立がん研究所(NCI)の推定によると、2015年には、26850人が新規にMMと診断され、11240人が肺がんで死亡するとされる。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のRichard Pazdur血液・腫瘍製品部長は、「我々は、MMを含め、免疫系とがんとの間の相互作用の方法について学び続けている」と指摘したうえで、「本日の承認は、MM治療薬として2番目のモノクローナル抗体であることを示し、同剤は新たなベネフィットをもたらすために他剤と併用する」と話した。
FDAは、11月初めに米Janssen Biotech社の同じMMを適応としたモノクローナル抗体Darzalex(daratumumab)を承認している。