米会計検査院 複雑薬開発ガイダンスでFDAに勧告 後発品の新規参入停滞で
公開日時 2018/01/29 03:50
米会計検査院(GAO)は1月16日、吸入用呼吸器疾患治療薬、注射薬や点眼薬などの一部医薬品で製造が難しい、いわゆる複雑薬ジェネリック医薬品(GE)の新規市場参入が停滞気味な理由のひとつとして、米食品医薬品局(FDA)の複雑薬GEについてのガイダンスの発行方法・時期などに問題があるとしてFDAに対して勧告を行った。
勧告書は、「ジェネリック医薬品:FDAは、非生物製剤である複雑薬についてのガイダンスの発行並びに改定の予定を公表しなくてはならない」(Generic Drugs: FDA Should Make Public Its Plans to Issue and Revise Guidance on Nonbiological Complex Drugs)と題され、新規複雑薬GEの開発ガイダンスの策定や既存複雑薬ガイダンスの改定の予定を事前に公表、GE企業の開発の便宜を図るよう求めた。
GAOは、複雑薬の競争を促し、高薬価薬剤問題を解決するには、一層の複雑薬GEの市場参入が不可欠との観点から、GE企業関係者ばかりでなく先発薬(新薬)企業関係者やFDA審査官らの聞き取り調査の実施、FDAの審査実態及び複雑薬GEについてのガイダンスの発行状況などを調査した。
GAOは、FDAは複雑薬のGE市場参入を促すために種々の手段を講じてきたとFDAの努力を評価しながらも、製薬関係者から以下の問題点が指摘されたとしている。
現行の複雑薬ガイダンスでは、▽GE承認取得に求められる生物学的同等性を示すために有用と位置付けられるものの、それを十分に示すことが出来るような内容になっていない、▽既存薬のガイダンスはGE業界に対して事前通告なく何度も改定されているが、そのため、GE企業はガイダンス改定に従い、申請書類の更新などを余儀なくされ、時間、経費、およびリソースなどを浪費している‐など。
今回の勧告内容は以下の通り。
① FDA長官は、透明性向上のため、複雑薬について、新製品の場合、翌年内におけるガイダンス発行予定を公表しなければならない
②FDA長官は、透明性向上のため、複雑薬について、既存製品の場合、翌年内におけるガイダンスの重要な改定予定を公表しなければならない
FDAのScott Gottlieb長官は、GAOの勧告を受けて、同日直ちに、声明を発表した。複雑薬GE開発促進の重要性は十分に理解しているとした上で、GAOの考えに同意。ガイダンスの発行および改定についてはその計画の公表を具体化する準備を進めていることを説明した。