JCRと帝人 急性期脳梗塞適応の再生医療等製品を共同開発 発症後数日内投与でも効果期待
公開日時 2017/07/24 03:50
JCRファーマと帝人はこのほど、日本国内における急性期脳梗塞を適応症とする再生医療等製品(開発番号:「JTR-161」)の共同開発契約と実施許諾契約を締結したと発表した。JCRは治験製品の製造などを担い、帝人は非臨床試験、臨床試験の実施や承認申請などを担当。2018年度内には臨床開発を開始する計画。
帝人によると、急性期脳梗塞の薬物治療においては、発作発症後から数時間内に投与しなければならないが、「JTR-161」の開発が成功すれば、発症後から数日内の投与でも日常生活動作の改善などが期待できるという。静脈内投与を想定する。帝人グループは、中期経営計画で再生医療を成長戦略としており、今回の契約締結はその一環。
契約締結は7月18日に発表された。それによると、これはJCRが保有する他家(同種)歯髄由来幹細胞を用いたもので、神経保護作用や免疫調整作用、血管新生作用等を有することが示唆され、体内に投与しても拒絶反応が起こりにくいとされている。
JCRは、帝人から共同開発契約および実施許諾契約に基づいて一時金、マイルストン及びロイヤリティを受け取るが、金額は非開示。承認後はJCRが製品の製造と供給、帝人が販売を担当する。両社は、脳梗塞以外の疾患への適応拡大も検討する。
帝人グループは、慢性期脳梗塞を適応症とする開発品「SB623」に加えて、「JTR-161」を保有することで、急性期・慢性期の治療法を提供することを目指す。「SB623」は、バイオベンチャーのサンバイオが成人骨髄由来の間葉系幹細胞を加工・培養して製造したもので、脳内の神経組織に投与されると再生機能を誘発することで失われた運動機能の改善を促すことが期待されるという。帝人は同社と2009年12月に共同開発契約を締結した。