日本ケミファ・山口社長 知財戦略強化して「他社に先んじてGEを市場投入」も
公開日時 2016/07/08 03:51
日本ケミファの山口一城社長は7月7日、東京本社で開いた記者懇談会で、後発医薬品(以下、GE)の数量シェアが80%以上となる時代が数年後に到来することについて、「80%になると、(GEの)量的拡大フェーズは終焉を迎える」と指摘、その市場環境下でもGE事業を持続成長させるために「今からGEの『量』よりも『質』にこだわって事業展開したい」と述べた。国は2020年度末までのなるべく早い時期に、GE数量シェアを80%以上にする目標を掲げている。
質を追求した特色あるGEとして、「一番手製剤」の開発強化に取り組むとした。例えば、医療現場のニーズを踏まえて製剤工夫を凝らしたGEを開発・投入するほか、知財戦略やその体制を強化して「他社に先んじてGEを市場投入」(山口社長)していくことも挙げた。
最近では、沢井製薬が骨粗鬆症治療薬エビスタのGEを他社より先に市場投入した例がある。その結果、先発品を販売するイーライリリー社との間で特許係争に至った。山口社長は懇談会で具体的な事例は挙げなかったが、「(GEを先んじて市場投入することは)他社でも結構ある」とし、「先発メーカーとの特許に関する見解の相違は出てくるかもしれないが、それも踏まえて対応していく。総合的な競争力を高めたい」と語った。
■16年度計画 GE売上300億円突破へ がん領域の取組み強化
同社の17年3月期(16年度)のGE売上計画は316億8000万円で、300億円の大台突破を目標に掲げた。この売上には製造受託分は含まず、ほとんどが自社販売の売上となる。前年度比9.2%の増収計画となるが、保険薬局市場のカバー率が約70%に達したこと、DPC病院でのプレゼンス、国のGE使用促進政策の追い風――などを理由に達成可能としている。
GE販売では、がん領域製品の取り組みを特に強化する。山口社長によると、がん領域製品は同社が過去から注力しているDPC病院で採用されるケースが多く、採用にあたっては医局の影響力が大きい。このため、「DPC病院の医局に営業展開している当社にアドバンテージがある」(山口社長)として、これまでの取り組みとの相乗効果も期待できることから、がん領域製品に注力する。
また、全国で整備中の地域包括ケアシステムで柱となる地域の中核病院の多くがDPC病院でもある。がん領域製品の取り組みを強化することで、各病院や地域へのアクセス強化につなげるねらいもあるようだ。